医療的ケア児の医療的ケア判定スコアとは?児発・放デイの基本報酬との関係を解説
医療的ケア判定スコアは、医療的ケアの内容と見守りの必要性等から、医療的ケア児の支援ニーズを確認する仕組みです。事業者が独自に採点して基本報酬を決めるものではありません。児発・放デイで算定を検討するときは、最新の医師作成様式、自治体による確認、受給者証等への反映、看護職員配置、利用実績をひとまとまりのものとして確認する必要があります。
この記事の結論
- 判定スコアは、医療的ケア児の支援ニーズと報酬区分等を確認する仕組みです。
- 現行様式は、医療的ケアごとの基本スコアと、一部項目の見守りスコアで構成されます。
- 区分3は32点以上、区分2は16点以上、区分1は3点以上が目安です。
- 医師が様式を作成し、自治体の手続を経て確認するため、事業所の自己判断だけでは算定できません。
- スコアは重症心身障害児の該当性を判定する尺度ではありません。
医療的ケア判定スコアとは
医療的ケア判定スコアとは、児童が必要とする医療的ケアを項目ごとに評価し、児発・放デイにおける支援体制や医療的ケア児に係る基本報酬区分の確認に用いる仕組みです。
診断名の重さ、障害者手帳の等級、重症心身障害児の該当性を点数化するものではありません。医療的ケア児と重症心身障害児の違いは、別に確認してください。
現行スコアの構造
2026年9月2日時点で仙台市が公開する医療的ケア判定スコアの医師作成様式では、医療的ケアの実施内容に応じた「基本スコア」と、一部項目についてケア実施中の見守りの必要性を評価する「見守りスコア」を合計します。
| 区分 | 合計スコアの目安 | 支援ニーズの見方 | 報酬との関係 |
|---|---|---|---|
| 医療的ケア区分3 | 32点以上 | 最も高い区分 | 区分3の基本報酬・看護配置を確認 |
| 医療的ケア区分2 | 16点以上 | 中間の区分 | 区分2の基本報酬・看護配置を確認 |
| 医療的ケア区分1 | 3点以上 | 区分1に該当 | 区分1の基本報酬・看護配置を確認 |
| 3点未満 | 区分1未満 | 医療的ケアの事実と算定を別確認 | 他の基本報酬等を検討 |
点数の境界だけで請求区分を確定せず、医師作成資料、受給者証、自治体の決定、利用したサービス・時間、事業所の配置を照合します。
医療的ケア項目と点数
以下は仙台市公開の現行医師作成様式を2026年9月2日に照合した概要です。見守りスコアは、該当欄が設けられた項目だけに加算されます。
| 医療的ケア項目 | 基本スコア | 見守りスコア |
|---|---|---|
| 人工呼吸器の管理 | 10 | 0~2 |
| 気管切開の管理 | 8 | 0または2 |
| 鼻咽頭エアウェイの管理 | 5 | 0または1 |
| 酸素療法 | 8 | 0または1 |
| 吸引 | 8 | 0または1 |
| ネブライザーの管理 | 3 | なし |
| 経管栄養 | 8 | 0~2 |
| 持続的な経管注入ポンプ使用 | 3 | 0または1 |
| 中心静脈カテーテルの管理 | 8 | 0~2 |
| 皮下注射 | 5 | 0または1 |
| 持続皮下注射ポンプ使用 | 3 | 0または1 |
| 血糖測定 | 3 | 0または1 |
| 医療的ケア項目 | 基本スコア | 見守りスコア |
|---|---|---|
| 継続的な透析 | 8 | 0~2 |
| 間欠的導尿 | 5 | なし |
| 持続的導尿(留置カテーテル) | 3 | 0または1 |
| 排便管理(人工肛門) | 5 | 0または1 |
| 排便管理(摘便・洗腸) | 5 | なし |
| 排便管理(浣腸) | 3 | なし |
| 痙攣時の座薬挿入・吸引・酸素投与・迷走神経刺激装置の作動等 | 3 | 0~2 |
同じ大分類内で適用する点数や重複評価の扱いがあり、血糖測定などは様式上の頻度条件も確認します。上表を自己採点用の早見表として使わず、必ず最新Excel様式の選択肢と注意事項を確認してください。
誰が、いつ、何に基づいて確認するか
医療的ケア判定スコアは、医師が児童の医療的ケアの状況を確認して所定様式を作成します。保護者が給付決定自治体へ提出し、自治体が受給者証への反映等の手続を行う流れが基本ですが、提出先、更新時期、添付書類は自治体によって確認が必要です。
事業所は利用相談時に、受給者証、医師作成の判定スコア、医療的ケアの指示に関する書類、服薬・緊急連絡等を確認します。それぞれ役割が異なり、判定スコアが医療行為の指示書を兼ねるわけではありません。
書類の役割
| 書類 | 主な役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| 判定スコアの医師作成様式 | ケア項目・スコアの確認 | 個別手技の指示書ではない |
| 通所受給者証 | 支給決定・サービス利用の確認 | 記載内容と有効期間を確認 |
| 医師の指示に関する書類 | 事業所で行うケアの根拠 | 自治体・事業所の様式を確認 |
| 個別支援計画 | 発達支援の目標・内容 | 医療情報だけで完結しない |
基本報酬との関係
児発・放デイの医療的ケア児に係る基本報酬は、医療的ケア区分、利用定員、サービス種別、提供時間等の条件によって確認します。単位数は条件を外して一つだけ示すことができません。2026年度報酬改定による最新の告示・留意事項を用い、児発と放デイを分けて単位表を読みます。
医療的ケア児に係る基本報酬は、加算ではありません。基本報酬に別の加算を上乗せできるかは、加算ごとの対象、届出、職員配置、併算定制限を確認します。児発・放デイそれぞれの一般的な基本報酬・売上の考え方は、児童発達支援の基本報酬・売上・収入の仕組みを解説と放課後等デイサービスの売上・収入と収益の仕組みも参照してください。医療的ケア児対応での開業・報酬の組立ては、児発での開業・報酬の組立てと放デイでの開業・報酬の組立てもご覧ください。
看護職員配置との関係
医療的ケア区分ごとの児童数は、報酬上必要となる看護職員数の計算にも関係します。現行の考え方では、月単位で区分3の児童1人につき1、区分2は0.5、区分1は0.33を乗じ、必要数と実際の配置を比較します。
この計算だけで安全な勤務人数が決まるわけではありません。ケアが同時に発生する時刻、児童の状態、看護職員の休憩・欠勤、送迎、緊急時の役割分担も検討します。また、基本の児童指導員・保育士等として数えた職員を、同じ時間に医療的ケア区分の看護配置へ重複して数えないよう、最新通知を確認してください。医療的ケア児を受け入れる児発・放デイの人員配置で詳しく解説しています。
児発・放デイで単位表を見る順序
- サービスが児発か放デイかを確認する
- 対象児が一般児、医療的ケア児、重心児のどれに該当するか確認する
- 医療的ケア児は区分1~3を確認する
- 利用定員と提供時間の区分を確認する
- 看護職員の必要配置と実績を確認する
- 基本報酬と加算を分け、届出・併算定を確認する
放デイは学校日と学校休業日で提供の形が変わり、児発・放デイとも時間区分等が単位に影響する場合があります。受給者証に区分があっても、配置要件を満たさない日に同じ基本報酬を算定できるとは限りません。
重症心身障害児の基本報酬との違い
重症心身障害児を主として通わせる事業所では、重心児向けの基本報酬を、児発・放デイ、利用定員、学校日・休業日等の条件から確認します。医療的ケア判定スコアが高いことだけで、重心児向け基本報酬へ切り替わるわけではありません。
逆に、重症心身障害児で医療的ケアも必要な児童について、どの報酬体系・加算が適用されるかは事業所類型と算定要件を確認します。重心型の定員と基本報酬と混同しないようにしてください。
スコア確認から利用開始までの流れ
- 利用相談で医療的ケアの概要と受給者証を確認する
- 自治体が案内する最新の医師作成様式を確認する
- 保護者が医師へ作成を依頼し、自治体の手続を行う
- 事業所が受給者証等への反映と有効期間を確認する
- 医師の指示関係書類を別に整える
- 区分・児童数から報酬上の看護配置を検討する
- 個別の安全性から実配置・物品・緊急対応を決める
- 必要な体制届等を提出し、算定開始時期を確認する
自治体の手続前に利用を開始する場合の報酬、様式作成費用、更新の起算日は地域の案内を確認します。書類が届く見込みだけで高い区分を先行請求しないようにしましょう。
点数表の読み違いを防ぐ
スコア表には、基本スコア、見守りスコア、同一大分類内の選択肢、実施頻度等の条件があります。Excel様式の見出しだけを別の表へ転記すると、選択肢や注記が抜けるおそれがあります。
持続ポンプを使用する場合、経管栄養や皮下注射の大分類内でどの欄を選択するかを様式どおり確認します。排尿・排便管理も、導尿、留置カテーテル、人工肛門、摘便等で欄が分かれます。複数のケアがあるからといって、同一内容を別欄で重複加点することはできません。
見守りスコアの意味
見守りスコアは、単に職員が同じ部屋にいる時間を加点するものではありません。現行様式の定義・選択肢に従い、医師が当該ケア実施中の見守りの必要性等を確認します。事業所が人手不足を理由に見守り点を加えることはできません。
受給者証と事業所台帳の管理
事業所では、児童ごとに区分、スコア合計、医師作成日、受給者証の有効期間、自治体確認日、指示書等の期限を台帳化します。ただし、必要以上の医療情報を広く閲覧させず、業務上必要な職員にアクセスを限定しましょう。
更新期限の前に自治体の案内と受診予定を確認し、余裕をもって家族と共有します。状態変化がある場合は定期更新を待つべきか、早期の再確認が必要かを主治医・自治体へ相談してください。
請求前の二者確認
請求担当者だけで判定スコアと報酬を処理すると、古い区分、提供時間、看護勤務の見落としが生じます。支援責任者が児童・ケア・勤務実績を、請求担当者が受給者証・単位・届出を確認し、差異を解消してから伝送しましょう。
返戻や過誤があった場合は、原因を入力ミスで終わらせず、様式更新、期限管理、勤務実績、引継ぎのどこで防止できたかを見直します。同じ誤りを他児にもしていないか横断的に確認します。
状態変化・更新・請求誤りへの対応
医療的ケアの開始・終了、頻度の変化、医療機器の変更などがあれば、医師・保護者・自治体と再確認します。スコアの有効期間や再作成の時期は自治体の案内に従います。事業者が状態変化を見て受給者証の区分を独自に書き換えることはできません。
請求前には、次を月ごとに照合します。
- 利用児ごとの受給者証と有効期間
- 医師作成の最新スコアと自治体確認
- 利用日・提供時間・欠席等の実績
- 看護職員の勤務予定と実績
- 算定した基本報酬、加算、届出内容
- ケア記録、個別支援計画、医師指示関係書類
誤請求が分かった場合は、記録を修正して隠すのではなく、事実関係を確認し、国保連の過誤調整や指定権者への報告・相談を行います。
宮城県・仙台市での確認
仙台市は障害児通所支援事業所向けページで、医師が作成する医療的ケア判定スコアのExcel様式を公開しています。利用児の支給決定に関する提出先と、事業所の指定・報酬届出の窓口を混同しないようにしましょう。
仙台市内の指定事業所は仙台市、仙台市外の宮城県内事業所は原則として宮城県へ、算定予定の基本報酬、看護配置、届出様式、算定開始日を事前に確認してください。古い保存様式を流用せず、提出直前に公式サイトから最新版を取得しましょう。
算定根拠ファイルの作り方
児童ごとに、医師作成様式、受給者証、自治体との確認記録、指示書等、利用実績を関連付けます。原本・写しの保管ルール、有効期間、アクセス権、廃棄時期を定め、請求監査時に当月の根拠を提示できるようにしておきましょう。
月次一覧には区分だけでなく、利用日、提供時間、看護職員配置、算定した基本報酬を記録します。児童別書類と集計表の数字が異なる場合は、伝送前に原因を確認します。
様式更新時の注意
公式サイトで新様式が公開されたときは、ファイル名だけで新旧を判断せず、改定日、適用日、項目・注記を比較します。既に作成済みのスコアを新様式で取り直す必要があるかは自治体へ確認し、事業所判断で家族へ不要な再受診を求めないようにしましょう。
家族へスコアを説明するときは、点数の高低を児童の価値や障害の重さと結び付けません。通所支援で必要な看護・報酬を確認する制度上の資料であること、ケアの実施可否は別に個別判断することを伝えます。書類取得の負担や受診日程にも配慮しましょう。
よしだ行政書士事務所が医療的ケア判定スコア・報酬区分の確認を支援します
- 医療的ケア判定スコアと基本報酬区分の整理
- 看護職員配置の必要数試算のサポート
- 請求前確認・算定根拠ファイルの整備支援
宮城県名取市を拠点に、宮城県全域を中心に東北6県からのご相談に対応しています。オンライン相談、訪問相談、土日祝日の予約相談も可能です。
まとめ
医療的ケア判定スコアは、基本スコアと見守りスコアから支援ニーズを確認し、医療的ケア区分、基本報酬、看護職員配置を検討する仕組みです。最新の医師作成様式、自治体の確認、受給者証、勤務実績をつなげて初めて、適切な請求判断ができます。
当事務所では、宮城県・仙台市で児発・放デイを開業・運営する事業者に対し、報酬区分、看護配置、届出、請求前確認の整理を支援しています。個別児童の医学的判定は医師、支給決定・算定取扱いは関係自治体への確認が前提です。
よくある質問
参考にした公的資料・公式URL(2026年9月2日確認)
- こども家庭庁:令和8年度障害福祉サービス等報酬改定
- こども家庭庁:医療的ケア児とその家族に対する支援
- 仙台市:障害児通所支援事業所に関する留意事項(判定スコア様式を含む)
- 宮城県:指定障害児通所支援事業者等の申請様式