放課後等デイサービスの売上・収入はいくら?基本報酬と収益の仕組みを解説
放課後等デイサービスの開業を検討するとき、「月の売上はどのくらいになるのか」「定員10名と15名では収入がどう変わるのか」「黒字になるには何人の利用が必要か」――こうした疑問は、事業計画を立てるうえで避けて通れません。
結論からお伝えすると、放課後等デイサービスの売上は「定員×営業日数」だけでは決まりません。実際の利用人数、支援時間、定員区分、地域区分、算定できる加算、適用される減算を一つひとつ積み上げて計算します。利益は、そこから人件費や家賃、送迎車両費などの経費を差し引いた残りです。
特に2026年は注意が必要です。同年6月から福祉・介護職員等処遇改善加算が見直され、6月1日以降に新規指定された事業所には、基本部分を1.8%調整する応急的報酬単価も導入されました。古い単価表のまま収支計画を作ると、開業後の資金繰りが想定と食い違うおそれがあります。
この記事では、宮城県・仙台市で放課後等デイサービスを開業する方に向けて、報酬の仕組み、月商のモデル試算、損益分岐点、請求から入金までの流れを詳しく解説します。
重要な注意
本記事の金額は、制度の理解と事業計画作成のためのモデル試算です。実際の売上・利益は、所在地、定員、利用児童の状況、支援時間、人員配置、加算の届出・算定状況、欠席、返戻、家賃、給与、借入条件などによって大きく変動します。
情報確認日:2026年8月12日
この記事でわかること
- 放課後等デイサービスの売上を決める5つの要素と計算の仕組み
- 2026年度の基本報酬単位数と地域単価の違い(仙台市・多賀城市/その他)
- 2026年6月以降の新規開業に適用される応急的報酬単価の影響
- 定員15名・仙台市モデルでの利用率別月商試算と損益分岐点
- 請求から入金までのタイムラグと運転資金の考え方
放課後等デイサービスの「売上」「収入」「利益」は同じではない
放課後等デイサービスの経営を考える際は、まず売上と利益を分けて把握しておくことが大切です。開業相談の場でも「月商200万円なら利益はいくらですか?」と聞かれることがありますが、売上がそのまま手元に残るわけではありません。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 売上・事業収入 | 基本報酬、加算、利用者負担額など、サービス提供によって得る収入の合計 |
| 入金 | 国保連合会や利用者から実際に口座へ振り込まれた金額 |
| 利益 | 売上から人件費、家賃、車両費などの経費を差し引いた残額 |
| 資金残高 | 入金・支払・借入返済・設備投資等を反映した手元資金 |
月商が高くても、人員を多めに配置して家賃や送迎費がかさめば、利益はほとんど残らないこともあります。反対に、経費を抑えようと人員を最低限にすると、基準違反や支援の質の低下を招き、加算が算定できなくなったり、減算を受けたりする可能性があります。
放課後等デイサービスの事業計画では、「売上を最大化する」という発想だけでなく、「必要な支援体制を維持しながら、継続できる収支にする」という視点が欠かせません。
放課後等デイサービスの売上を構成する5つの要素
放課後等デイサービスの売上は、おおむね次の式で整理できます。
月間報酬額の概算 =(基本報酬 + 各種加算 - 各種減算)× 地域ごとの1単位単価 × 月間利用延べ人数
実際の請求では、利用児童ごとの算定状況、月単位の加算、端数処理、利用者負担上限額管理なども関係するため、上記はあくまで事業計画段階での理解用の式です。
1. 実際の利用人数
定員とは「毎日その人数分の売上が保証される」ものではありません。契約者が15名いても、曜日ごとの利用予定、欠席、学校行事、体調不良などにより、1日あたりの利用人数は日々変わります。
たとえば、定員15名・月24日営業の場合、毎日満員であれば月間利用延べ人数は360人日です。しかし利用率70%なら252人日、50%なら180人日にとどまります。
| 利用率 | 1日平均利用人数 | 月間利用延べ人数(月24日) |
|---|---|---|
| 30% | 4.5人 | 108人日 |
| 50% | 7.5人 | 180人日 |
| 70% | 10.5人 | 252人日 |
| 90% | 13.5人 | 324人日 |
| 100% | 15.0人 | 360人日 |
開業直後から高い利用率を前提にするのは危険です。問い合わせ→見学→体験利用→受給者証の支給決定→契約という過程を踏まえ、段階的に利用者が増えていく計画にしましょう。
2. 基本報酬
基本報酬は、放課後等デイサービスを提供したときの収入の土台です。一般的な放課後等デイサービスでは、主に次の条件で単位数が変わります。
- 医療的ケア児や重症心身障害児に該当するか
- 利用定員が10人以下、11人以上20人以下、21人以上のどれか
- 個別支援計画に定めた支援時間がどの時間区分に該当するか
- 学校授業日か学校休業日か
- 2026年6月1日以降の新規指定事業所か
つまり、「1人利用すれば一律いくら」という仕組みではありません。
3. 各種加算
加算は、一定の人員配置や支援を行い、算定要件を満たした場合に基本報酬へ上乗せされるものです。代表例としては、児童指導員等加配加算、専門的支援体制加算、専門的支援実施加算、家族支援加算、送迎加算、関係機関連携加算、延長支援加算、福祉・介護職員等処遇改善加算などがあります。
ただし、加算は「届出さえ出せば自動的に収入になるもの」ではありません。人員配置、資格・経験、支援の実施、記録、回数上限など、それぞれの要件を満たす必要があります。詳しくは放課後等デイサービスの加算についての解説をご覧ください。
4. 各種減算
人員欠如、個別支援計画の未作成、定員超過、自己評価結果等の未公表、支援プログラムの未公表、身体拘束廃止や虐待防止に必要な措置の未実施、業務継続計画の未策定、情報公表の未報告などは、減算の対象です。
減算は単に売上が下がるだけの問題ではありません。基準違反の状態が続けば、行政指導や指定への影響にも発展しかねません。必要な人員配置は放課後等デイサービスの人員基準で確認してください。
5. 地域区分による1単位単価
障害児通所給付費は、算定した単位数に地域ごとの1単位単価を掛けて金額に換算します。人件費水準を反映する仕組みのため、同じ単位数でも事業所の所在地によって金額が変わります。
基本報酬は支援時間と利用定員で変わる
2026年度の報酬算定構造では、重症心身障害児以外を対象とする一般的な放課後等デイサービスの基本報酬に、次の3つの時間区分が設けられています。
- 区分1:30分以上1時間30分以下
- 区分2:1時間30分超3時間以下
- 区分3:3時間超5時間以下(学校休業日のみ)
一般的な利用児童で、医療的ケア児に関する高い報酬区分に該当しない場合の基本部分は次のとおりです。
| 利用定員 | 区分1 | 区分2 | 区分3(学校休業日のみ) |
|---|---|---|---|
| 10人以下 | 574単位 | 609単位 | 666単位 |
| 11人以上20人以下 | 382単位 | 406単位 | 443単位 |
| 21人以上 | 287単位 | 305単位 | 343単位 |
この表からわかるとおり、定員を15名に増やしたからといって、1人あたりの基本報酬が10名定員のときと同額のまま増えるわけではありません。定員区分が変わると1人あたりの基本単位が下がるため、定員増による総売上と、必要人員・面積・経費を一体で試算することが大切です。
また、計画上の支援時間と実際の支援時間の取り扱いには、細かな算定ルールがあります。単に滞在時間を長く設定して上位区分を算定できるわけではなく、個別支援計画・標準的な支援時間・実際の提供状況を整合させる必要があります。
宮城県では仙台市・多賀城市とその他の市町村で単価が異なる
令和6年度から令和8年度までの障害児サービスの地域区分では、仙台市と多賀城市は6級地、それ以外の宮城県内市町村は原則として「その他」に区分されます。
重症心身障害児以外を主として受け入れる放課後等デイサービスの1単位単価は、次のとおりです。
| 所在地 | 地域区分 | 1単位単価 |
|---|---|---|
| 仙台市・多賀城市 | 6級地 | 10.36円 |
| 上記以外の宮城県内市町村 | その他 | 10.00円 |
たとえば、同じ月に100,000単位を算定した場合、仙台市・多賀城市では約103万6,000円、その他の市町村では100万円になります。単純計算で約3.6万円の差です。
ただし、仙台市は家賃や人件費が高くなりやすい面もあります。地域単価が高いという理由だけで開業地を決めるのではなく、児童人口、競合事業所、学校・相談支援事業所との距離、採用のしやすさ、送迎範囲、物件費を併せて検討してください。放課後等デイサービスの物件選びも参考になります。
2026年6月以降に新規指定を受ける事業所の注意点
2026年6月1日以降に新規指定された放課後等デイサービスには、令和8年度の臨時応急的な見直しとして、原則、基本部分に982/1000を乗じる取り扱いが設けられています。
つまり、基本部分について1.8%の調整が入ります。たとえば定員15名・区分2の406単位であれば、収支試算上は406単位に0.982を掛けた水準、約398.7単位相当として見積もる必要があります。
一方、2026年6月からは福祉・介護職員等処遇改善加算も拡充されました。放課後等デイサービスの加算率は、区分と要件により11.9%から16.1%です。ただし、処遇改善加算はあくまで職員の賃金改善を目的とする加算です。売上には計上されますが、事業所が自由に使える利益として見込むべきではありません。
配慮措置について
重度障害児への支援、離島・中山間地域、自治体が客観的に必要と認めた事業所、事業譲渡等に伴う新規指定などには、適用対象外となる配慮措置があります。すべての新規指定事業所・すべての利用児童に一律で調整がかかるとは限りません。開業予定地と支援対象を示して指定権者へ確認しましょう。
開業収支を作る際は、次の2点を分けて扱ってください。
- 応急的報酬単価による基本部分の調整(基本報酬に982/1000を乗じる)
- 処遇改善加算による収入と、それに対応する賃金改善支出(売上には含むが、利益として自由に使えない)
制度改正前の単価で作った事業計画や融資資料は、2026年度の現行制度に合わせて再計算が必要です。今後の報酬改定で取り扱いが変わる可能性もあるため、指定申請時と開業直前にも最新資料を確認してください。
【図解】放課後等デイサービスの売上が決まる流れ
定員15名・月24日営業の売上モデル
ここでは、宮城県仙台市内で新規開業する場合の月商をモデル試算します。
試算の前提
| 項目 | モデル設定 |
|---|---|
| 所在地 | 仙台市(6級地・1単位10.36円) |
| 指定時期 | 2026年6月1日以降の新規指定 |
| 利用定員 | 15名 |
| 営業日数 | 月24日 |
| 営業日の内訳 | 授業日18日、学校休業日6日 |
| 対象 | 重症心身障害児以外、医療的ケア児の特別な基本区分に該当しない児童 |
| 支援時間 | 授業日は区分2、学校休業日は区分3 |
| 基本報酬 | 406単位/443単位 |
| 新規指定事業所の調整 | 基本部分に982/1000を反映 |
| 加算込みモデル | 基本報酬以外を平均250単位/人日と仮定 |
| 処遇改善加算 | 例として15.2%を使用 |
「平均250単位」は、送迎、加配、専門的支援その他の加算をまとめた説明用の仮定です。実際に算定できる加算や単位数を示すものではなく、加算の要件を満たさない事業所には当てはまりません。
利用率別の月商試算
| 利用率 | 1日平均 | 基本報酬のみ | 加算込み(処遇改善前) | 処遇改善15.2%含む |
|---|---|---|---|---|
| 30% | 4.5人 | 約46万円 | 約73万円 | 約84万円 |
| 35% | 5.25人 | 約53万円 | 約85万円 | 約98万円 |
| 40% | 6.0人 | 約61万円 | 約97万円 | 約112万円 |
| 45% | 6.75人 | 約68万円 | 約110万円 | 約126万円 |
| 50% | 7.5人 | 約76万円 | 約122万円 | 約140万円 |
| 55% | 8.25人 | 約84万円 | 約134万円 | 約154万円 |
| 60% | 9.0人 | 約91万円 | 約146万円 | 約168万円 |
| 65% | 9.75人 | 約99万円 | 約158万円 | 約182万円 |
| 70% | 10.5人 | 約106万円 | 約171万円 | 約196万円 |
このモデルでは、利用率70%でも基本報酬だけなら月約106万円です。加配・専門的支援・送迎等を適正に算定でき、処遇改善加算を含めると月約196万円になります。
しかし、約196万円の全額が利益になるわけではありません。処遇改善加算は賃金改善に充てる必要がありますし、加算を算定するための追加人件費や送迎車両費も発生します。加算を増やすことは、必ず対応する体制と支出を伴います。
また、実際の月は利用児童ごとに支援時間や加算が異なり、学校休業日の日数も月によって変わります。この表はあくまで「売上がどのように利用率へ連動するか」を理解するための試算です。
開業後9か月の売上推移モデル
利用率を1か月目30%からスタートし、毎月5ポイントずつ上げて9か月目に70%へ到達する場合、加算・処遇改善込みのモデルでは次の推移になります。
| 開業後 | 利用率 | 月商モデル |
|---|---|---|
| 1か月目 | 30% | 約84万円 |
| 2か月目 | 35% | 約98万円 |
| 3か月目 | 40% | 約112万円 |
| 4か月目 | 45% | 約126万円 |
| 5か月目 | 50% | 約140万円 |
| 6か月目 | 55% | 約154万円 |
| 7か月目 | 60% | 約168万円 |
| 8か月目 | 65% | 約182万円 |
| 9か月目 | 70% | 約196万円 |
開業初期は利用率が上がるまで赤字になりやすい期間です。放課後等デイサービスの開業資金で解説しているとおり、初期費用だけでなく、給付費の入金前と黒字化前の運転資金を確保しておく必要があります。
売上から差し引かれる主な経費
放課後等デイサービスでは、人件費が最も大きな支出項目になりやすい傾向があります。
| 経費区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 人件費 | 給与、代表者報酬、賞与、法定福利費、通勤費、採用費、研修費 |
| 物件費 | 家賃、共益費、駐車場、更新料、修繕費 |
| 車両費 | 車両購入・リース、燃料、保険、車検、整備、タイヤ |
| 水道光熱・通信費 | 電気、ガス、水道、電話、インターネット |
| 支援関連費 | 教材、玩具、消耗品、行事費、衛生用品 |
| システム費 | 請求ソフト、記録システム、勤怠・会計システム |
| 専門家費用 | 税務、労務、登記、指定申請・運営支援等 |
| その他 | 損害保険、警備、清掃、広告、借入利息、租税公課 |
月間経費のモデル
次の経費は、定員15名、仙台市内、延床約100㎡、賃料18万円、管理者兼代表兼児童発達支援管理責任者1名、常勤指導員2名、非常勤2名を想定した一例です。
| 経費 | 月額モデル |
|---|---|
| 役員報酬・給与 | 94万円 |
| 法定福利費等 | 15万円 |
| 家賃・共益費等 | 18万円 |
| 水道光熱・通信費 | 7万円 |
| 車両・燃料・保険等 | 8万円 |
| 教材・消耗品・行事費 | 4万円 |
| 請求・記録システム | 3万円 |
| 保険・専門家・その他管理費 | 10万円 |
| 合計 | 約159万円 |
この金額には、法人税等、借入元金返済、大規模修繕、臨時賞与、車両の追加購入などは含めていません。給与水準、社会保険加入状況、家賃、車両台数によって大きく変わります。
上記モデルで月商196万円・月間経費159万円なら、差額は約37万円です。ただし、処遇改善加算に対応する賃金改善の配分、税金、借入返済、将来の設備更新費を考慮すると、そのまま自由に使える利益ではありません。
損益分岐点は「毎日何人必要か」まで落とし込む
損益分岐点とは、売上と費用がほぼ等しくなり、利益も損失も生じない水準です。
上記モデルでは月間経費を約159万円としています。加算・処遇改善込みの売上例では、利用率60%で月約168万円です。単純比較では利用率60%前後が損益分岐点に見えます。
しかし実際には、利用人数が増えると行事費、燃料費、教材費などの変動費も増えます。また処遇改善加算には対応する賃金改善支出があります。安全側に見るなら、損益分岐点は利用率60%よりも高めに設定し、複数のシナリオで検証すべきです。
定員15名の場合、利用率60%は1日平均9名、65%は約9.75名、70%は約10.5名です。「月商160万円を目指す」という抽象的な目標ではなく、「平日に平均何名、学校休業日に何名の利用が必要か」まで落とし込むと、営業計画と人員計画を連動させやすくなります。
利益が出ていても資金不足になることがある
放課後等デイサービスでは、サービス提供月と給付費の入金月にタイムラグが生じます。
国保連合会の請求事務では、原則としてサービス提供の翌月10日までに請求情報を提出し、審査後に支払われます。そのため、開業月からすぐに給付費が入金されるわけではありません。さらに、請求内容に不備があり返戻となれば、修正・再請求によって入金がさらに遅れます。
一方、給与、家賃、社会保険料、車両費は入金前でも支払わなければなりません。会計上の売上が計上されていても、預金残高が足りなくなることは十分起こりえます。
開業時には、少なくとも次の4つの資金を分けて試算してください。
- 指定・開業までに必要な初期費用
- 給付費が初回入金されるまでの立替資金
- 利用率が損益分岐点へ達するまでの赤字補填資金
- 返戻、採用難、車両故障等に備える予備資金
利用者負担1割だけが事業所の売上ではない
障害児通所支援では、原則としてサービス費用の1割を利用者が負担し、残りが公費負担となる仕組みです。ただし、世帯所得等に応じた月額負担上限があり、複数事業所を利用する場合には上限額管理が必要になることがあります。
事業者側から見ると、利用者負担分と国保連合会を通じて支払われる給付費分を合わせたものが報酬収入です。「保護者から受け取る金額が少ないから、事業所の売上も少ない」というわけではありません。
おやつ代、教材費、行事費などを実費徴収する場合は、運営規程、重要事項説明、利用契約、徴収根拠、金額の妥当性を整理し、保護者へきちんと説明する必要があります。給付費対象の支援を、根拠なく別料金として徴収することはできません。
売上が計画を下回る主な原因
契約者数と利用延べ人数を混同している
契約者20名でも、各児童が週1回利用なら、毎日の利用人数を十分に確保できないことがあります。曜日別の利用予定表を作り、定員に対する日々の稼働率を確認してください。
欠席率を見込んでいない
体調不良、学校行事、家庭の都合による欠席は必ず発生します。満員予定だけを基に計画すると、実績売上は計画を下回ります。欠席時対応加算は要件を満たす支援を行った場合の評価であり、通常利用と同額の売上を補う制度ではありません。
加算を過大に見積もっている
開業時点で必要な人材を採用できるとは限りません。また、加算ごとに届出、配置、実施、記録、回数上限が設けられています。「他の事業所が算定しているから自社も算定できる」と考えるのは危険です。
人員基準ぎりぎりでシフトを組んでいる
有給休暇、研修、急な欠勤、送迎中の職員配置を考慮しない計画は、人員欠如や支援体制の不安定化につながります。基準上の最低人数と、現実に安全運営できる人数は必ずしも同じではありません。
定員区分の変化を計算していない
定員10名から15名へ増やすと受入可能人数は増えますが、一般的な基本報酬の定員区分も変わります。増員に伴う追加人件費、設備、送迎車両と合わせて再計算が必要です。
返戻・過誤を資金繰りへ反映していない
受給者台帳との不一致、算定要件や請求情報の誤りなどにより、請求が返戻される場合があります。請求前の点検体制と、一定の入金遅延に耐えられる運転資金を確保しておきましょう。
宮城県・仙台市で開業前に確認したい事項
放課後等デイサービスの報酬制度は全国共通ですが、加算届や指定申請の提出先は所在地によって異なります。
仙台市が指定・届出の窓口
原則として宮城県が指定・届出の窓口
利用児童の居住市町村
国保連合会を通じて行うことが基本
宮城県では、介護給付費等の算定に係る事項を変更する場合、原則として変更月の前月15日までの届出が案内されています。仙台市については、市の最新様式と期限を別途確認してください。
物件契約、人員採用、加算設計、利用者獲得、資金調達を別々に進めると、指定は受けられても収支が成り立たないことがあります。開業全体の順序は放課後等デイサービスの開業スケジュールも併せてご確認ください。
よしだ行政書士事務所が放課後等デイサービスの開業・運営を支援します
- 指定申請書類の作成から開業後の運営体制づくりまでトータルサポート
- 報酬・加算の前提整理と収支計画の整合性チェック
- 必要に応じて社労士・税理士・司法書士・建築士等と連携
宮城県名取市を拠点に、宮城県全域を中心に東北6県からのご相談に対応しています。オンライン相談、訪問相談、土日祝日の予約相談も可能です。
まとめ
放課後等デイサービスの売上は、「定員×単価」のような単純計算では決まりません。実際の利用人数、支援時間、定員区分、地域単価、加算の算定状況、減算の有無を一つひとつ積み上げて計算します。
2026年度は、6月からの処遇改善加算の拡充と、新規指定事業所への応急的報酬単価の導入が重なる年です。古い単価で作った事業計画をそのまま使うと、想定と実際の収支にずれが出るおそれがあります。
安定経営のためには、加算ありきで売上を積み上げるのではなく、地域のニーズに合った支援体制を先に設計し、その体制が加算の要件を満たす場合に届出と記録を整えるという順序が基本です。そのうえで、利用率30%・50%・70%などの複数シナリオで収支をシミュレーションし、必要な運転資金と営業目標を把握しておきましょう。
放課後等デイサービス開業の全体像は、放課後等デイサービスの開業・指定申請総合ガイドをご覧ください。
よくある質問
凡例・注釈
- 放課後等デイサービス
- 就学している障害児に対し、授業終了後または学校休業日に、生活能力向上のための支援、社会との交流促進等を行う障害児通所支援です。
- 単位
- 障害児通所給付費を計算する基礎となる数値です。算定単位数に地域ごとの1単位単価を乗じて金額に換算します。
- 利用率
- 本記事では「月間利用延べ人数÷定員×営業日数」で計算しています。
- 人日
- 児童1人が1日利用した場合を1人日と数える表現です。
- 国保連合会
- 国民健康保険団体連合会の略称です。給付費の請求受付、一次審査、支払等を担います。
本記事の試算は、消費税、法人税等、借入元金返済、減価償却、臨時費用を簡略化しています。報酬、加算、減算、届出期限は改定されることがあります。実際の指定申請・請求時には、指定権者と最新の告示・通知・様式を確認してください。
参考情報・参考資料
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について(こども家庭庁、2026年)── 改定概要、報酬告示、留意事項、Q&A ──
https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/r8hoshukaitei(2026年8月12日確認) - 障害福祉サービス費等の報酬算定構造(厚生労働省・こども家庭庁、2026年)── 放課後等デイサービスの基本報酬、加算、減算、応急的報酬単価 ──
こども家庭庁 報酬算定構造(PDF)(2026年8月12日確認) - 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム、2026年2月)── 処遇改善加算の拡充、2026年6月施行内容 ──
こども家庭庁 改定事項(PDF)(2026年8月12日確認) - 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1(厚生労働省・こども家庭庁、2026年3月31日)── 応急的報酬単価の適用対象・配慮措置 ──
こども家庭庁 Q&A VOL.1(PDF)(2026年8月12日確認) - 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(厚生労働省、2024年2月)── 令和6~8年度の障害児サービス地域区分 ──
厚生労働省 報酬改定概要(PDF)(2026年8月12日確認) - こども家庭庁長官が定める一単位の単価(平成24年厚生労働省告示第128号)── 放課後等デイサービスの地域別1単位単価 ──
厚生労働省法令等データベース(2026年8月12日確認) - 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第21条の5の3等 ── 障害児通所給付費、利用者負担の根拠 ──
e-Gov法令検索(2026年8月12日確認) - 請求事務ハンドブック(宮城県掲載資料・国保連合会)── 請求、一次・二次審査、支払、返戻等 ──
宮城県 請求事務ハンドブック(PDF)(2026年8月12日確認) - 介護給付費等の算定に係る届出書等(宮城県)── 加算届、変更月の前月15日までの届出案内 ──
宮城県 加算届出ページ(2026年8月12日確認)
本記事は、2026年8月12日時点で公開されている法令・告示・通知等にもとづき作成したモデル試算・解説です。正確性には十分配慮しておりますが、法令改正、運用変更、個別の事業所の状況等により、内容が実態と異なる場合があります。具体的な開業・運営については、指定権者(仙台市または宮城県)および関連専門家へご確認ください。