重症心身障害児型の児発・放デイは定員5名から開業できる?定員と基本報酬を解説
重症心身障害児を主として通わせる児発・放デイは、一定の条件の下で定員5名以上から開業を検討できます。ただし、「定員を5名にすれば重心型になる」「5名の利用希望者がいれば指定される」という意味ではありません。対象児を主として受け入れる事業方針、重心児向けの人員・設備、利用見込み、基本報酬、資金繰りを一体として審査・確認します。
この記事の結論
- 一般の児発・放デイの最低定員は原則10名、重心児を主として通わせる場合は5名以上を検討できます。
- 定員5名は、契約者数・一日の実利用者数・月の延べ利用人数とは別です。
- 2026年度の重心児向け基本報酬は、児発か放デイか、定員、学校日・休業日等で異なります。
- 基本報酬の単位数だけでなく、地域区分、稼働率、看護職員等の人件費、欠席・入院を含めて収支を計算します。
- 定員・多機能型・対象児は、宮城県または仙台市へ事前相談します。
一般型と重心児を主対象とする場合の最低定員
| 事業の区分 | 最低定員の基本 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般の児発・放デイ | 原則10名 | 多機能型等は別途確認 |
| 重症心身障害児を主として通わせる場合 | 5名以上 | 対象児・人員・設備等の全要件が必要 |
「主として通わせる」とは、名称や定款に重心と書くことではなく、重症心身障害児を主対象として事業を構成し、その児童に対応する人員・設備・運営を整えることです。該当性は事業者が診断名や医療的ケアだけから独自に決めず、受給者証等と自治体の取扱いを確認します。医療的ケア児と重症心身障害児の違いも先に整理してください。
定員5名に関する四つの数字
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 利用定員 | 同時に利用する基本枠 | 定員5名 |
| 契約者数 | 利用契約を結ぶ実人数 | 曜日違いで5名を超えることがある |
| 一日利用人数 | 当日の実利用者 | 欠席等で日々変動 |
| 延べ利用人数 | 月内の各日利用人数の合計 | 売上試算に使用 |
定員5名でも、曜日別に異なる児童と契約することはあります。一方、契約者が多いことを理由に、理由なく日々の定員を超過してよいわけではありません。仙台市の留意事項も、定員遵守を原則とし、減算にならない範囲だから恒常的に超過してよいわけではないと注意喚起しています。
単独型と多機能型の定員
児発だけ、放デイだけを行う単独型のほか、同じ事業所で両サービスを行う多機能型があります。多機能型では、サービスごとの定員、合計定員、同時提供、人員共用の特例、設備共用、基本報酬の定員区分を確認します。多機能型の基本的な仕組みは児童発達支援・放課後等デイサービスの多機能型とは?で解説しています。
たとえば午前に児発、放課後に放デイを行う案でも、名称上の時間分けだけで定員・人員を一つにできるとは限りません。利用児が重なる時間、送迎、職員休憩、部屋の利用、請求単位を図示して指定権者と協議しましょう。
定員超過利用減算と日々の定員管理
定員超過利用減算は、一定の超過が生じた場合に報酬を減額する仕組みです。しかし、減算の判定基準は定員を日常的に超えて受け入れる許可枠ではありません。
定員管理では、予約、欠席見込み、振替利用、兄弟利用、学校休業日、災害等のやむを得ない事情を記録します。安全な職員数、車いす・ベッドの空間、送迎車両も同時に確認し、受入判断を営業担当だけに任せない仕組みにしましょう。
2026年度の重心児向け基本報酬
以下は、こども家庭庁の令和8年度(2026年度)報酬改定資料・留意事項に基づく、重症心身障害児を主として通わせる事業所の基本報酬単位です。2026年9月2日時点の基準で、加算を含みません。
児童発達支援
| 利用定員 | 基本報酬(1日) |
|---|---|
| 5~7名 | 2,131単位 |
| 8~10名 | 1,347単位 |
| 11名以上 | 850単位 |
放課後等デイサービス
| 利用定員 | 学校授業日 | 学校休業日 |
|---|---|---|
| 5~7名 | 1,771単位 | 2,056単位 |
| 8~10名 | 1,118単位 | 1,299単位 |
| 11名以上 | 692単位 | 817単位 |
単位数は児童1人・1日当たりの基本報酬として読み、対象児、利用実績、定員区分等の要件を確認します。告示の適用日、経過措置、事業所区分が変われば取扱いも変わるため、請求開始前に最新告示と自治体の届出を再確認してください。
児発と放デイの報酬構造
| 観点 | 児発 | 放デイ |
|---|---|---|
| 主な対象 | 未就学児 | 就学中の児童 |
| 重心基本報酬 | 定員区分別 | 定員区分+学校日・休業日別 |
| 稼働の特徴 | 日中の継続利用 | 放課後と長期休業で変動 |
| 収支の注意 | 併行利用、欠席、入院 | 学校予定、送迎、休業日勤務 |
医療的ケア児に係る基本報酬は、医療的ケア判定スコアによる区分、看護職員配置、定員・時間等を確認する別の体系です。医療的ケア判定スコアの点数だけを重心児報酬へ当てはめないでください。
基本報酬と加算を分ける
基本報酬はサービス提供の基礎となる報酬、加算は専門職配置や個別の支援等の要件を満たす場合に上乗せされる報酬です。加算は名称が似ていても、対象児、職種、常勤換算、届出、記録、併算定制限が異なります。
売上計画では「取れそうな加算」をすべて足さず、開業時に配置・届出・運用が確実なもの、利用児ごとに要件を満たすもの、実績後に算定できるものへ分けます。加算が算定できなくても給与・家賃を払える資金計画が必要です。
月額売上の考え方
概算は、原則として次の順で行います。
基本報酬単位 × 延べ利用人数 × 1単位の地域単価 + 算定可能な加算 − 減算等
1単位は全国一律10円ではなく、サービス種別と地域区分等で円換算が変わります。また、利用者負担、国保連からの入金時期、加算の算定対象数も資金繰りに影響します。
仮の試算前提
| 項目 | 仮定 | 注意点 |
|---|---|---|
| サービス | 重心児発 | 放デイなら別単位 |
| 利用定員 | 5名 | 定員区分5~7名 |
| 営業日 | 月20日 | 休業・祝日を反映 |
| 平均利用 | 1日4名 | 稼働率80%の仮定 |
| 基本報酬 | 2,131単位 | 2026年度、加算除外 |
| 地域単価 | 仮に10円 | 実際の地域単価で置換 |
この仮定なら、基本報酬部分は2,131単位×4人×20日×10円=1,704,800円です。これは説明用の計算であり、保証売上ではありません。欠席、入院、開業直後の利用不足、実際の地域単価、加算・減算、請求返戻を反映すれば金額は変わります。
既存の児発の基本報酬・売上に関する記事や放デイの売上・収益に関する記事も、サービスごとの収支設計に利用できます。
定員別に損益分岐を比較する
定員5名、7名、10名では基本報酬の定員区分だけでなく、必要な床面積、車両、職員、利用確保の難しさが変わります。単位数が同じ区分内でも、利用人数を増やすために看護・直接支援・送迎を増員すれば費用も増えます。
| 比較項目 | 5名案 | 7名案 | 10名案 |
|---|---|---|---|
| 利用見込み | 曜日別に5名確保 | 追加2名の対象・送迎 | 8~10名区分を再計算 |
| 人員 | 1人欠勤の影響大 | 同時ケアを再評価 | 管理体制も拡大 |
| 物件 | 小さくても動線確保 | ベッド等の配置増 | 面積・避難・車両を再検討 |
| 収支 | 固定費比率が大きい | 増員費との比較 | 1人当たり単位低下を反映 |
定員を増やした後に単位区分が変われば、既存利用者を含む売上へ影響します。変更指定・届出の要否、適用開始日、利用契約、勤務・設備を指定権者へ確認してから計画しましょう。
三つの稼働シナリオ
売上計画は一つの平均利用人数だけでなく、少なくとも三つのケースを作ります。
- 基本ケース:紹介・契約が計画どおり進む
- 慎重ケース:開業後の利用開始が遅れ、欠席が一定数ある
- 厳しいケース:長期入院や職員欠員で利用調整が続く
各ケースで、基本報酬、確実な加算だけを計上し、人件費、家賃、車両、電気、借入返済を差し引きます。加算の届出が間に合わない月や請求返戻も、資金繰り表に置いておきましょう。
放デイは学校日と休業日を分ける
放デイは学校日と休業日で基本報酬単位が違い、支援時間・人件費も変わります。年間カレンダーで授業日、土曜、長期休業、事業所休業日を数え、それぞれの利用人数を掛け合わせます。全営業日に高い休業日単位を当てはめないようにしましょう。
地域単価の確認
一単位の単価は、サービスと地域区分等を基に確認します。仙台市と他地域で同じとは限らず、改正や経過措置もあり得ます。円換算表には確認日・根拠・適用地域を記載し、請求システムの設定とも照合してください。
定員変更・多機能型への移行
開業後に利用希望が増えた場合も、先に契約を増やしてから定員変更するのではありません。人員、発達支援の室、消防・避難、運営規程、報酬区分を再確認し、変更届・変更指定の手続と適用日を相談します。
児発と放デイを多機能型にする場合は、合計定員だけでなく、同時利用、サービス別時間、職員・設備の共用特例、各基本報酬の定員区分を確認します。既存事業の報酬が変わる可能性も含めて比較してください。
定員5名モデルの費用とリスク
重心児を主対象とする事業所では、定員が小さくても、嘱託医、看護職員、児童指導員または保育士、機能訓練担当職員、児発管、管理者等を確認します。重心型の人員配置基準を人件費へ反映してください。
小規模事業所は、1人の欠席や職員1人の退職が稼働率・配置へ与える影響が大きくなります。重心児は体調不良や入院で欠席が続くこともあり、学校・家庭が広域なら送迎費も増えます。採用紹介料、代替看護職員、車両、医療・避難設備、研修費を開業資金と運転資金に入れておきましょう。
運転資金の考え方を参照し、入金までの期間と欠員時の売上低下に耐える資金を確保してください。開業資金全体の設計は障害福祉事業の資金調達完全ガイドもあわせてご覧ください。
宮城県・仙台市での事前相談
仙台市内は仙台市、仙台市外の宮城県内は原則として宮城県が指定権者です。事前相談では次を提示します。
- 重症心身障害児を主対象とする事業方針と利用見込み
- 児発・放デイの別、単独型・多機能型の別
- 利用定員、部屋、時間帯、同時利用の考え方
- 対象児の確認方法、相談支援等との連携
- 職種別の勤務表と採用状況
- 算定予定の基本報酬・加算、収支計画
宮城県は障害児通所支援の新規指定について、希望日の概ね1か月前までの申請を案内していますが、事前相談、補正、建築・消防協議にはさらに時間がかかります。仙台市は電子申請による事前相談と期限確認ページを案内しています。日程は更新されるため、希望指定日から逆算して公式ページを確認してください。
報酬改定時の見直し
報酬改定では単位数だけでなく、対象、時間区分、配置、加算・減算、経過措置が変わることがあります。改定資料の概要版だけで収支を更新せず、告示、留意事項、Q&A、自治体の届出案内を照合してください。
改定前後で、同じ利用予定・勤務表を使った月次売上と人件費を比較します。新しい加算を見込む場合は、採用・研修・記録・届出に要する費用と算定開始時期も反映しましょう。
収支計画と実績は毎月比較し、差異を利用人数、単価、加算、欠席、職員費、送迎費に分解します。売上低下を利用者の受入拡大だけで埋めず、定員遵守と安全配置を前提に、営業日、ルート、採用、固定費を見直します。
利用相談の記録には、希望曜日だけでなく、学校・家庭からの送迎、医療的ケア、他サービスとの併用、利用開始見込みを残しておきましょう。重複した問い合わせや開始時期未定の相談を確定利用として数えず、月ごとに見込みを更新します。
よしだ行政書士事務所が定員設計・報酬シミュレーションを支援します
- 定員区分・多機能型の整理と収支シミュレーション
- 基本報酬・加算の届出サポート
- 宮城県・仙台市への指定申請の支援
宮城県名取市を拠点に、宮城県全域を中心に東北6県からのご相談に対応しています。オンライン相談、訪問相談、土日祝日の予約相談も可能です。
まとめ
重症心身障害児を主として通わせる児発・放デイは定員5名以上から検討できますが、定員だけで類型や指定は決まりません。対象児、人員、設備、基本報酬、地域単価、稼働率、人件費を同じ事業計画上で確認しましょう。
当事務所では、宮城県・仙台市での定員・多機能型の整理、報酬・加算の届出、人員計画、指定申請を支援しています。具体的な開業工程は、重心児発の開業記事と重心放デイの開業記事もご覧ください。
よくある質問
参考にした公的資料・公式URL(2026年9月2日確認)
- e-Gov法令検索:指定通所支援の人員・設備・運営基準
- こども家庭庁:令和8年度障害福祉サービス等報酬改定
- 宮城県:指定障害児通所支援事業者等の申請様式
- 仙台市:障害児通所支援事業所に関する留意事項