放課後等デイサービスの処遇改善加算とは?2026年度の加算率・要件・申請方法を解説
放課後等デイサービスの開業を計画するとき、基本報酬や各種加算だけでなく、「職員の給与をどう確保するか」も大きな課題です。その中心となるのが「福祉・介護職員等処遇改善加算」(以下、処遇改善加算)です。
処遇改善加算は、職場環境・キャリアパス・賃金改善の要件を満たし、計画書等を届け出た事業者が、通常の障害児通所給付費に上乗せして受け取る加算です。ただし、加算を受け取ればそのまま事業利益になるわけではなく、原則として加算額に相当する賃金改善を実施する義務が伴います。
2026年(令和8年)6月の報酬改定により、放課後等デイサービスの加算区分と加算率は大きく変わりました。2026年6月以降の加算率は、区分に応じて11.9%から16.1%です。新設された「ロ」区分では、生産性向上や協働化に関する令和8年度特例要件も関係してきます。
この記事では、宮城県内で仙台市以外に事業所を置く場合と、仙台市内に置く場合を分けながら、開業前に整えたい賃金制度、申請時期、提出先、実績報告まで解説します。
⚠ 情報確認日:2026年8月13日
処遇改善加算は年度ごとに通知・様式・提出期限が更新されます。実際に届出を行う際は、厚生労働省・こども家庭庁、宮城県または仙台市の最新情報を必ずご確認ください。
この記事のポイント
- 2026年6月以降の加算率は6区分(Ⅰイ15.5%~Ⅳ11.9%)に再編された
- 加算額に相当する賃金改善が必要で、そのまま利益にはならない
- キャリアパス要件Ⅰ~Ⅴ、職場環境等要件、令和8年度特例要件の組合せで区分が決まる
- 計画書は原則として算定月の前々月末日までに提出する
- 仙台市内と仙台市外で提出先・期限が異なる
- 開業前から賃金制度・研修計画・管理体制を設計しておくことが重要
放課後等デイサービスの処遇改善加算とは
福祉・介護職員等処遇改善加算とは、障害福祉・障害児支援の現場で働く職員の賃金改善と職場環境の整備を目的として、所定の要件を満たす事業所の報酬へ上乗せされる加算です。
2024年(令和6年)6月、それまで別々に存在していた「福祉・介護職員処遇改善加算」「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」「福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算」の3つが一本化され、現在の福祉・介護職員等処遇改善加算となりました。
放課後等デイサービスは、学校に就学している障害児に対し、授業終了後または学校休業日に生活能力向上のための支援等を提供する障害児通所支援です。支援の質を継続的に確保するには、児童指導員や保育士等を採用し、育成し、定着させる仕組みが欠かせません。
処遇改善加算には、大きく分けて二つの役割があります。
加算額を原資として、基本給、毎月支払う手当、賞与等による賃金改善を行う
任用・賃金体系、研修、昇給、職場環境改善等を制度として整える
したがって、「届出をすれば売上が増える制度」とだけ捉えるのは適切ではありません。開業段階から雇用契約、給与規程、就業規則(または内規)、人事評価、研修計画、会計管理を一体として設計する必要があります。
放課後等デイサービス全体の報酬構造は、放課後デイサービス加算について解説も併せてご覧ください。
2026年度改定で何が変わったのか
2026年度は、4月・5月と6月以降で加算率・区分が異なるため、時期を分けて確認する必要があります。
2026年度障害福祉サービス等報酬改定では、令和9年度の定例改定を待たず、2026年6月から処遇改善加算が拡充されました。主な変更点は次の5つです。
- 処遇改善の対象を「福祉・介護職員」から「障害福祉従事者」へ拡大
- 各サービスの加算率を引上げ
- 生産性向上や協働化に取り組む事業者向けに「Ⅰロ」「Ⅱロ」を新設
- キャリアパス要件Ⅳの年額賃金基準を460万円へ変更
- 職場環境等要件について、実施する取組数等を見直し
2026年4月・5月の放課後等デイサービスでは、Ⅰ 13.4%、Ⅱ 13.1%、Ⅲ 12.1%、Ⅳ 9.8%の4区分でした。6月以降は6区分に再編され、加算率も変わっています。
本記事の公開時点(2026年8月)は、6月以降の区分・加算率が現行です。過去の解説記事や前年度の様式を参照すると、誤った区分で計画してしまうおそれがあるため注意してください。
2026年6月以降の処遇改善加算率
放課後等デイサービスにおける2026年6月以降の処遇改善加算率は、Ⅰイ 15.5%、Ⅰロ 16.1%、Ⅱイ 15.2%、Ⅱロ 15.8%、Ⅲ 14.2%、Ⅳ 11.9%です。
| 加算区分 | 加算率 | 主な位置付け |
|---|---|---|
| 処遇改善加算Ⅰイ | 15.5% | 通常要件を最も広く満たす上位区分 |
| 処遇改善加算Ⅰロ | 16.1% | Ⅰイの要件+令和8年度特例要件を満たす区分 |
| 処遇改善加算Ⅱイ | 15.2% | Ⅰイから配置等要件を除いた区分 |
| 処遇改善加算Ⅱロ | 15.8% | Ⅱイの要件+令和8年度特例要件を満たす区分 |
| 処遇改善加算Ⅲ | 14.2% | キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ等を満たす区分 |
| 処遇改善加算Ⅳ | 11.9% | キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ等を満たす区分 |
加算率は、処遇改善加算を除く基本報酬と各種加算・減算を合計した1か月の総報酬単位数に掛けて算出します。定員や利用人数だけで一律に決まる金額ではありません。
なお、加算率が最も高いのはⅠロですが、区分の選択は単純な売上比較では決められません。福祉専門職員配置等加算の届出状況、賃金体系、昇給制度、職場環境の取組、令和8年度特例要件を実際に満たせるかどうかを、個別に確認する必要があります。
加算額の計算方法
処遇改善加算は、処遇改善加算そのものを除いた月間総報酬単位数に、該当する加算率を掛けて計算します。
計算の基本式
処遇改善加算の単位数 =(基本報酬+各種加算・減算の月間総単位数)× 該当する処遇改善加算率
たとえば、処遇改善加算を除く報酬が仮に月100万円相当である場合、単純化した概算は次のようになります。
| 区分 | 加算率 | 概算加算額 |
|---|---|---|
| Ⅰロ | 16.1% | 約16万1,000円 |
| Ⅰイ | 15.5% | 約15万5,000円 |
| Ⅱロ | 15.8% | 約15万8,000円 |
| Ⅱイ | 15.2% | 約15万2,000円 |
| Ⅲ | 14.2% | 約14万2,000円 |
| Ⅳ | 11.9% | 約11万9,000円 |
⚠ 注意
上表は制度理解のための単純なモデルです。実際は総報酬単位数、地域区分による1単位単価、端数処理、利用実績、他の加算・減算等によって変動します。また、加算額に相当する賃金改善が必要であり、そのまま法人の利益になるわけではありません。
開業後の売上全体との関係は、放課後等デイサービスの売上・収入と収益の仕組みで詳しく解説しています。
処遇改善加算の対象となる職員
2026年度の通知では、加算を原資とする賃金改善について、福祉・介護職員の処遇改善を重視しつつ、事業所内で柔軟に配分することが認められています。
通知上の福祉・介護職員には、放課後等デイサービスで中心となる次の職種が含まれます。
- 児童指導員
- 保育士
- 児童指導員等加配加算における「その他の従業者」に該当する指導員等
2026年度改定では対象が「障害福祉従事者」へ広げられました。そのため、職種名だけを理由に機械的に対象外とするのではなく、通知・Q&A・勤務実態・法人の配分方針を踏まえて個別に判断することが大切です。
一方で、「柔軟な配分が認められる」ことと「無制限に配分できる」ことは同じではありません。一部の職員や一部の事業所だけへ、職務内容や勤務実態に見合わないほど著しく偏った配分を行うことは避けてください。
役員についても、「役員だから当然に対象」「管理者だから必ず対象」とは判断できません。雇用関係、賃金の性質、実際の職務、加算の趣旨等を個別に確認する必要があります。役員報酬と労働者としての賃金を混同しないよう注意しましょう。
職種や配置の前提は、放課後等デイサービスの人員基準もご確認ください。
6つの加算区分と算定要件
どの区分を算定できるかは、月額賃金改善、キャリアパス、職場環境、配置等、令和8年度特例要件の組合せで決まります。
2026年6月以降の主な要件を簡略化すると、次のように整理できます。
| 要件 | Ⅰイ | Ⅰロ | Ⅱイ | Ⅱロ | Ⅲ | Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 月額賃金改善要件 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| キャリアパス要件Ⅰ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| キャリアパス要件Ⅱ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| キャリアパス要件Ⅲ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
| キャリアパス要件Ⅳ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
| キャリアパス要件Ⅴ(配置等) | ○ | ○ | - | - | - | - |
| 上位区分向け職場環境等要件・見える化 | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
| 令和8年度特例要件 | - | ○ | - | ○ | - | - |
「○」で示した項目にも、取組数、基本給等への配分割合、公表方法等の細かな条件があります。この表だけで算定可否を決めず、最新通知のチェックリストと計画書を使って確認してください。
月額賃金改善要件
要件の概要:処遇改善加算Ⅳの加算額の2分の1以上を、基本給または毎月決まって支払う手当(基本給等)の改善に充てること。Ⅳ以外の区分でも、仮にⅣを算定した場合に見込まれる加算額の2分の1以上が基準となる。
新たに処遇改善加算を取得する事業所は、加算額に相当する賃金改善を新たに行います。賞与だけで全額を配る設計では、月額賃金改善要件を満たせない可能性があります。
令和8年度特例要件
要件の概要:ⅠロまたはⅡロを算定するには、ⅠイまたはⅡイの要件に加えて、以下のアまたはイのいずれかと、ウを満たすこと。
- ア:職場環境等要件の「生産性向上」の取組を5項目以上実施し、指定された必須項目も実施する
- イ:事業所が所属する法人が社会福祉連携推進法人に所属する
- ウ:Ⅱロ相当の加算額の2分の1以上を基本給等の改善へ充てる
2026年度には、一定の項目について2027年3月末までに実施する旨を計画書で誓約できる経過的な取扱いがあります。ただし、誓約すれば実施しなくてよいわけではありません。年度末までに整備・実施し、実績報告で報告する必要があります。
キャリアパス要件を具体的に解説
キャリアパス要件Ⅰ:任用要件・賃金体系
要件の概要:職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を定め、書面化して職員へ周知すること。
たとえば「一般職員」「主任」「管理職」等の職位を設けるだけでは足りません。各職位の職務内容、任用条件、給与・手当との対応関係がわかるようにしておきます。
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、労働基準法上、就業規則の作成・届出が義務づけられています。10人未満で就業規則の作成義務がない場合でも、処遇改善加算上は内規等を整備・周知する方法が認められています。ただし、労働法上の義務と加算要件上の義務は別々に確認してください。
キャリアパス要件Ⅱ:研修・資格取得支援
要件の概要:職員の資質向上目標と具体的な研修計画を作り、研修機会または資格取得支援を確保すること。
放課後等デイサービスであれば、障害特性の理解、虐待防止、身体拘束適正化、感染症対策、安全管理、個別支援計画、家族支援等を年間計画に組み込む方法が考えられます。
研修名を並べるだけでなく、対象者、時期、方法、担当者、受講記録、評価方法まで定めておくと、実施と証拠保存がスムーズになります。
キャリアパス要件Ⅲ:昇給の仕組み
要件の概要:経験、資格、または一定の評価基準に基づき、定期に昇給を判定する仕組みを設けること。
具体的には、次のような昇給判定の仕組みが該当します。
- 勤続年数や実務経験年数に応じた昇給
- 保育士、社会福祉士等の資格取得に応じた昇給
- 明文化した人事評価基準と定期評価に基づく昇給
経営状況によって実際に昇給できないことがあり得る場合でも、昇給を判定する客観的な仕組み自体は必要です。評価者の印象だけで決まる制度では、根拠の説明が難しくなります。
キャリアパス要件Ⅳ:改善後の年額賃金
要件の概要:経験・技能のある福祉・介護職員のうち1人以上について、処遇改善後の賃金見込額を年額460万円以上とすること(2026年6月以降)。
ただし、処遇改善前からすでに年額460万円以上である職員は、この要件を満たす対象者から除かれます。また、職場環境等要件について全体から14項目以上の取組を実施する場合は、キャリアパス要件Ⅳを満たす取扱いがあります。
2026年4月・5月は440万円基準でしたが、6月以降は460万円です。旧基準を使って計画しないよう注意してください。
キャリアパス要件Ⅴ:配置等要件
要件の概要:放課後等デイサービスでⅠイまたはⅠロを算定するには、福祉専門職員配置等加算の届出が必要。
福祉専門職員配置等加算には有資格者割合等の要件があります。処遇改善加算Ⅰだけを目標にしても、人員構成が要件に合わなければ算定できません。採用前の段階から資格証、実務経験、常勤換算、雇用形態を確認しておくことが重要です。
職場環境等要件と「見える化」
職場環境等要件は、賃金だけでなく、採用、育成、両立支援、健康管理、業務改善、働きがい等の取組を求める要件です。
主な区分には次のものがあります。
法人の理念・仕事の魅力発信や、他産業からの転職者の受入促進等
研修体系の充実、資格取得への費用助成等
子育て・介護との両立、短時間勤務、有給休暇取得促進等
腰痛予防、メンタルヘルス対策、健康診断の充実等
ICT活用、業務手順見直し、タスクシフト等の取組
ミーティング機会の確保、表彰、地域交流等
2026年6月以降、Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロでは、原則として生産性向上以外の各区分で2項目以上、生産性向上で3項目以上(指定項目を含む)を実施します。さらに、取組を外部から確認できるよう、障害福祉サービス等情報公表制度や自社ホームページ等で公表することが求められます。
Ⅲ・Ⅳでは、生産性向上以外の各区分で1項目以上、生産性向上で2項目以上を実施し、全体で8項目以上とすることが基本です。小規模事業者には生産性向上要件に関する特例がありますが、該当性は通知の項目番号と実際の取組内容を照合して確認してください。
なお、計画書のチェック欄に印を付けるだけでは不十分です。会議録、研修記録、導入した機器・システムの資料、面談記録、休暇制度の規程、ホームページ掲載画面等を保存し、実施状況をいつでも説明できるようにしておきましょう。
賃金改善を行うときの注意点
加算額以上の賃金改善が必要
処遇改善加算を算定した事業者は、受け取った加算額に相当する賃金改善を行わなければなりません。賃金改善には、基本給、手当、賞与等を含めることができ、賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担増加分も算入可能です。退職手当は対象外です。
既存給与の単なる付替えに注意
新規取得または加算率引上げ等により増加した加算額については、その増加額に相当する新たな賃金改善が必要です。すでに支払っている給与を「処遇改善分」と名称変更しただけでは、新たな改善とは説明しにくい場合があります。
基本給等と賞与のバランス
月額賃金改善要件があるため、一時金だけで配分する設計には注意が必要です。基本給を引き上げる場合は、加算収入の変動だけでなく、時間外手当、賞与、社会保険料、将来の固定費への影響も試算しておきましょう。
職員への周知
賃金改善の対象者、改善方法、支給時期、キャリアパス、職場環境の取組等は、職員へわかりやすく周知します。求人票、雇用契約書、給与規程、就業規則、処遇改善計画書の内容が食い違わないよう気をつけてください。
加算専用の管理表を作る
毎月、少なくとも次の事項を管理しておくと、年度末の実績報告がスムーズになります。
- 月ごとの処遇改善加算収入
- 職員別の賃金改善額
- 基本給等による改善額と賞与等による改善額
- 法定福利費等の増加分
- 対象期間中の入退職・休職・勤務形態変更
- 加算額と賃金改善額の累計差額
- 職場環境等要件の実施日と証拠資料
開業時の申請・算定までの流れ
新規開業時は、指定申請と処遇改善計画を別々に考えず、採用・賃金制度・加算届出を開業スケジュールへ組み込むことが重要です。
開業全体の手続は、放課後等デイサービスの開業・指定申請総合ガイドをご覧ください。
計画書・実績報告書・変更届
処遇改善計画書
処遇改善加算を算定するには、原則として当該年度に初めて算定する月の前々月末日までに処遇改善計画書を提出します。計画書には、加算区分、見込加算額、賃金改善方法、キャリアパス要件、職場環境等要件等を記載します。
仙台市では、2026年度の途中から算定する場合は算定月の前々月末日までと案内されています。加算区分を上げる場合は、変更月の前月15日までです。途中算定では計画書のほか、変更届、体制等届出書、体制等状況一覧表も求められます。
実績報告書
加算を算定した事業者は、各事業年度における最終の加算支払月の翌々月末日までに実績報告書を提出します。通常、2026年度分は2027年7月31日が国通知上の期日となる見込みです。ただし、指定権者が別途示す期限を必ず確認してください。
計画書と実績報告書、その根拠資料は2年間保存することとされています。実績報告を提出しない場合や要件を満たさない場合、加算の返還・取消しにつながるおそれがあります。
変更届
法人の合併、事業所の増減、就業規則の処遇関係部分の改訂、加算区分の変更等、通知で定める事項に変更が生じた場合は、変更届出書が必要です。
対象職員の賃金水準を引き下げた上で賃金改善を行う場合は、通常の変更届とは別に「特別な事情に係る届出書」が必要となります。経営悪化の状況、賃金引下げの内容、改善見込み、労使合意の方法等を記載する書類であり、安易に使用できる手続ではありません。
開業後の届出全般については、放課後デイサービス 開業後の届出・運営もご参照ください。
宮城県と仙台市の提出先の違い
事業所が仙台市内にあるか仙台市外にあるかで、処遇改善加算の提出先が異なります。法人本店の所在地だけで判断しないよう注意してください。
| 事業所の状況 | 主な提出先 |
|---|---|
| 仙台市内の放課後等デイサービス | 仙台市障害福祉サービス指導課 |
| 仙台市外の放課後等デイサービスを単独で届出 | 原則として事業所を所管する宮城県の保健福祉事務所または地域事務所の母子・障害担当班 |
| 仙台市外の複数事業所等を法人一括で届出 | 宮城県障害福祉課 |
| 仙台市内外に事業所があり法人単位で計画書を作成 | 各事業所の指定権者へそれぞれ提出(提出漏れに注意) |
宮城県の案内では、児童発達支援センターや通所による障害福祉サービスとの多機能型など、事業形態によって県障害福祉課が提出先となる場合があります。通常の放課後等デイサービスと同じとは限りません。
また、国通知では複数事業所の計画書・実績報告書を法人単位で一括作成することが認められていますが、提出は各事業所の指定権者に対して行うこととされています。宮城県と仙台市の両方に事業所を持つ法人は、提出漏れに注意してください。
提出期限・提出方法も同一とは限りません。たとえば2025年度実績報告について、宮城県は2026年7月31日、仙台市は2026年7月21日を期限として案内しました。国通知の一般原則だけでなく、毎年度の地域案内を確認する必要があります。
開業前から準備すべき書類と体制
処遇改善加算を開業直後から算定したい場合、指定を受けてから準備を始めるのでは遅いことがあります。
開業前に、少なくとも次の資料・体制を確認しておきましょう。
- 処遇改善計画書
- 体制等に関する届出書・体制等状況一覧表
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 就業規則、給与規程、賃金表または内規
- 職位・職責・任用要件を示すキャリアパス表
- 昇給・人事評価の基準
- 年間研修計画、研修記録様式
- 職場環境等要件の取組計画と証拠保存方法
- 福祉専門職員配置等加算の根拠資料(Ⅰを目指す場合)
- 職員への周知文書・説明記録
- 月次の加算収入・賃金改善管理表
- 予算、資金繰り、法定福利費を含む人件費計画
特に、指定申請上の人員基準を満たすことと、処遇改善加算の上位区分を満たすことは別の問題です。指定を受けられる人員配置であっても、福祉専門職員配置等加算やキャリアパス要件を満たすとは限りません。
指定申請の準備は、放課後デイサービス指定申請の流れも参考にしてください。開業に必要な資金の見通しは、放課後デイサービス開業資金はいくら必要?で解説しています。
よくある誤解・不備
❌「加算率分がそのまま利益になる」
誤りです。加算額に相当する賃金改善が必要です。加算収入と賃金改善支出を別々に把握し、年度末に不足が生じないよう月次で管理してください。
❌「賞与で年度末にまとめて払えばよい」
月額賃金改善要件があるため、全額を賞与だけで配る設計はできません。基本給等に充てるべき最低額を先に確認しましょう。
❌「処遇改善計画書だけ出せば算定できる」
計画書のほかに体制届等が必要となる場合があります。また、書類を提出しても、実態としてキャリアパスや職場環境等要件を満たしていなければ算定要件を満たしません。
❌「小規模事業所なら就業規則も規程も不要」
労働基準法上の就業規則作成義務がない規模でも、キャリアパス要件を満たすための内規等の整備・周知が必要となる場合があります。
❌「前年度の様式をそのまま使える」
処遇改善計画書・実績報告書は年度ごとに更新されます。2026年度は6月改定もあるため、旧様式や旧加算率を流用しないでください。
❌「申請時の誓約で要件は完了する」
誓約は実施の猶予であり、免除ではありません。2027年3月末までの整備・実施と、実績報告での確認が必要です。
行政書士等に相談できる範囲
処遇改善加算は、指定申請、報酬算定、労務、給与、会計が交差する制度です。行政書士は、指定権者へ提出する加算届出書類の作成・提出支援、指定申請や開業手続との工程整理等を支援できます。
一方で、就業規則の作成・変更、労働社会保険手続、個別の労務相談等は社会保険労務士の専門領域となる場合があります。税務・会計処理は税理士へ確認すべき事項があります。
よしだ行政書士事務所が処遇改善加算の届出・開業準備を支援します
- 処遇改善計画書・体制届等の作成支援
- 指定申請、加算届出、開業スケジュールの一括管理
- 社会保険労務士・税理士・司法書士・建築士等との連携
- 児童発達支援管理責任者の配置確認を含む人員計画の整理
宮城県名取市を拠点に、宮城県全域を中心に東北6県からのご相談に対応しています。オンライン相談、訪問相談、土日祝日の予約相談も可能です。
まとめ
放課後等デイサービスの処遇改善加算は、人材確保と職場環境の改善を支える重要な制度です。2026年6月以降は加算率が11.9%から16.1%へ引き上げられ、ⅠロとⅡロが新設されました。
一方、算定するには、加算額に相当する賃金改善、基本給等への配分、キャリアパス、研修、昇給、職場環境の取組、職員への周知、計画書・実績報告書の提出が必要です。開業後に慌てて整えるよりも、事業計画と採用計画を作る段階から準備しておくほうが、制度と実態を一致させやすくなります。
宮城県内でも、仙台市内と仙台市外では提出先や年度ごとの期限が異なります。最新の行政案内を確認し、取得可能な区分を無理なく選択してください。
FAQ|放課後等デイサービスの処遇改善加算
凡例・注釈
- 放課後等デイサービス
- 就学している障害児に対し、授業終了後や学校休業日に生活能力向上のための支援等を行う障害児通所支援です。
- 処遇改善加算
- 本記事では「福祉・介護職員等処遇改善加算」を指します。
- 基本給等
- 基本給または毎月決まって支払われる手当を指します。
- 指定権者
- 障害児通所支援事業者の指定や加算届出の受付等を行う行政機関です。
加算率・要件は2026年8月13日に確認した情報です。年度途中の通知改正、Q&A、指定権者の案内更新にご注意ください。本記事は一般的な制度解説であり、個別事業所の算定可否を保証するものではありません。
参考情報・参考資料
- 「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年度分、障障発0331第1号・こ支障第78号)/厚生労働省・こども家庭庁、2026年3月31日/https://www.pref.miyagi.jp/documents/7268/tejun.pdf(最終確認:2026年8月13日)
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について/厚生労働省、2026年2月18日/https://www.mhlw.go.jp/content/001680064.pdf(最終確認:2026年8月13日)
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について/厚生労働省/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00013.html(最終確認:2026年8月13日)
- 福祉・介護職員処遇改善加算の算定に係る届出書等について/宮城県、掲載日2026年8月4日/https://www.pref.miyagi.jp/site/syoufuku-top/syoguukaizen001.html(最終確認:2026年8月13日)
- 福祉・介護職員等処遇改善加算/仙台市、2026年6月24日更新時点/https://www.city.sendai.jp/shogaishien-shido/jigyosha/fukushi/fukushi/shogai/jigyosho/syogukaizen.html(最終確認:2026年8月13日)
- 児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成24年厚生労働省告示第122号)/厚生労働省(上記国通知・改定ページから確認)(最終確認:2026年8月13日)
本記事は2026年8月13日時点の法令・通知・公開情報に基づく一般的な解説です。個別の事業所における算定可否、届出内容、賃金配分等については、厚生労働省・こども家庭庁の通知、宮城県または仙台市の指定権者、社会保険労務士、税理士等の専門家にご確認ください。