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建設業許可の事業承継認可|譲渡・合併・分割・相続の期限と手続き【宮城県】
建設会社や個人事業を後継者へ引き継いでも、建設業許可が当然に移るわけではありません。事業譲渡・合併・会社分割・相続のいずれかで「建設業者としての地位」を承継するには、建設業法に基づく認可が必要です。
とくに注意したいのは申請時期です。譲渡・合併・分割は承継日より前に認可まで受ける必要があり、宮城県は遅くとも承継の事実発生日の35日前までに申請を完了するよう案内しています。相続だけは、事業主の死亡後30日以内に申請します。
この記事の結論|承継の方式と日付を決める前に許可の確認が必要です
建設業許可の事業承継では、契約や登記だけを先行させてはいけません。最初に承継方式、効力発生日、引き継ぐ全許可業種、承継先の許可要件、申請先を確認し、会社法・税務・雇用等の日程と認可申請を組み合わせます。
| 承継方式 | 認可申請の時期 | 許可の空白を避けるポイント |
|---|---|---|
| 事業譲渡 | 譲渡日の前に認可 | 契約の効力発生前に認可を得る |
| 合併 | 合併日の前に認可 | 消滅会社の許可が有効な間に進める |
| 会社分割 | 分割日の前に認可 | 建設業の全部を承継対象にする |
| 相続 | 被相続人の死亡後30日以内 | 期限内申請で処分まで「みなし許可」 |
宮城県知事許可の譲渡・合併・分割では、法令上の「あらかじめ」に加え、遅くとも承継日の35日前までの申請完了が実務上の基準です。申請は窓口のみで、JCIPによる電子申請はできません。計画が固まる前でも、まず管轄土木事務所へ事前相談するのが安全です。
建設業許可の事業承継認可とは、許可に伴う法的地位を引き継ぐ制度です
事業承継認可は、単に許可番号を移す手続きではありません。認可を受けて承継が実行されると、承継先は、許可を含む建設業法上の権利と義務を一体として承継します。
この制度は2020年10月1日施行の改正建設業法で設けられました。それ以前のように承継元が廃業し、承継先が新規許可を取り直す方法だけでなく、一定の条件を満たせば、許可の空白期間を生じさせずに事業を移せます。
ただし、承継されるのは「建設業法上の建設業者としての地位」です。工事請負契約、金融機関との契約、賃貸借、車両・機械、従業員、他法令の許認可、経営事項審査後の入札参加資格が、承継認可だけですべて自動的に移るわけではありません。それぞれ契約・会社法・労働法・他制度の確認が必要です。
株式譲渡や代表者交代は「許可承継」とは限らない
株式を売買しても法人自体が同じであれば、通常、その法人が持つ建設業許可の主体は変わりません。この場合は第17条の2の事業譲渡認可ではなく、役員・代表者等の変更届や、常勤役員等・営業所技術者等の要件維持を確認します。
「M&Aだから承継認可」と一括りにはできません。株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割では許可上の手続きが異なるため、基本合意書や契約書の名称ではなく、法人格と建設業の帰属がどう変わるかで判断します。
対象となる4つの方式|譲渡・合併・分割・相続を分けて考えます
建設業法が定める承継認可は、事業譲渡、法人の合併、法人の分割、個人事業主の相続です。承継元が営む許可に係る建設業の全部を移す点は共通しますが、当事者と申請時期が異なります。
1.事業譲渡
建設業者が、許可に係る建設業の全部を他の法人または個人へ譲渡する方式です。法人同士の事業譲渡だけでなく、個人事業主から後継者への生前承継、個人事業の法人成り、法人事業の個人成りも含まれます。
譲渡人と譲受人は事業譲渡契約を結び、譲渡日の前に認可を受けます。個人事業主が法人化する具体的な設立順序や名義変更は、個人事業主が法人化すると建設業許可はどうなるかで詳しく解説しています。
2.法人の合併
許可業者である法人が合併により消滅し、存続法人または新設法人が建設業者としての地位を引き継ぐ方式です。合併契約・合併計画、株主総会議事録等と認可申請の日程を、合併効力発生日から逆算します。
許可業者である法人が存続し、許可を持たない法人だけが消滅するケースでは、消滅する許可業者の地位がないため、承継認可の対象関係が異なります。合併当事者全社の許可状況を一覧にして行政庁へ確認してください。
3.法人の分割
許可業者が会社分割により、建設業の全部を分割承継法人または新設法人へ移す方式です。吸収分割では分割契約書、新設分割では分割計画書など、会社法上の手続きと対応する資料が必要になります。
事業部門の一部を切り出す一般的な会社分割でも、許可承継の対象は「許可に係る建設業の全部」です。許可業種の一部だけを移したい場合は、そのまま認可を申請できないため、事前の一部廃業や承継先の別申請を含めて設計します。
4.個人事業主の相続
個人の許可業者が死亡し、相続人が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営む場合の方式です。相続人が複数いるときは、全員の同意により建設業を承継する相続人を選びます。
相続は事前申請ができないため、死亡後30日以内に申請します。期限内に申請すると、死亡日から認可または不認可の通知日まで、被相続人の許可は申請した相続人に対するものとみなされます。戸籍の収集と他の相続人の同意に時間がかかるため、30日は短い期限だと考えてください。
認可を受けるための条件|「全部承継」と「許可要件」が重要です
認可には、承継の形式だけでなく、承継後も適法に建設業を営めることが必要です。宮城県の手引きは、時期、全部承継、一般・特定の重複、承継先の許可要件を主要条件として示しています。
承継前に認可を受ける
譲渡・合併・分割は、承継日後にさかのぼって認可を受けることができません。また、承継日までに承継元の許可が更新されず失効した場合、承継すべき地位がなくなり、認可を受けられません。
相続は例外的に死亡後申請ですが、30日を過ぎてから同じ仕組みで遡ることはできません。期限を過ぎた場合は、工事を継続できるかを含め、管轄土木事務所へ直ちに相談します。
許可に係る建設業の全部を引き継ぐ
承継元の許可業種から、都合のよい1業種だけを選んで承継することはできません。ただし、認可申請前に不要な業種を一部廃業し、残った許可業種をすべて承継する方法は認められています。
一部廃業が工事契約、配置技術者、経審、入札資格に与える影響も確認が必要です。許可の整理だけを先に実行せず、受注中・見積中の案件まで確認してください。
同一業種で一般・特定が衝突しない
同一の建設業者は、同じ業種について一般建設業と特定建設業の両方の許可を持てません。承継元と承継先が同じ業種を持つ場合、一般・特定の区分が同じなら承継できますが、区分が異なる場合はそのままでは承継できません。
どちらかの許可を事前に廃業するなど、認可前の整理が必要です。一般・特定の違いは一般建設業と特定建設業の違いで確認できます。
承継先が全業種の許可要件を満たす
承継先は、承継後に保有するすべての業種について、適切な経営体制、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎、欠格要件、適切な社会保険加入などの基準を満たさなければなりません。承継先が既に持つ業種と、承継によって増える業種を合算して審査します。
申請時点で承継先に許可がなくても、承継元の役員・従業員が承継日に移籍し、承継後の体制で要件を満たせる場合は認可の対象になり得ます。人が移る予定だけでは足りず、常勤性、資格・実務経験、雇用や社会保険の開始日を資料で説明できる工程が必要です。建設業許可取得の5つの要件も確認してください。
宮城県知事許可の申請実務|35日前まで・窓口のみ・手数料なしです
宮城県知事が認可庁となる案件では、事前相談後、管轄土木事務所の窓口へ申請します。譲渡・合併・分割は遅くとも承継日の35日前までに申請を完了し、書類不足で受付されない時間も見込む必要があります。
| 項目 | 宮城県知事許可の取扱い |
|---|---|
| 事前相談 | 管轄土木事務所の窓口へ相談 |
| 申請方法 | 窓口のみ。JCIPによる電子申請不可 |
| 提出部数 | 正本1通、写し2通 |
| 確認資料 | 正本と会社控え分の計2通に添付 |
| 申請手数料 | なし |
| 相続期限 | 被相続人の死亡後30日以内 |
認可通知書は申請窓口で交付され、原則として承継先へ通知されます。再交付されないため、受領後は受付控えと一緒に保管してください。
申請先が国土交通大臣になるケース
承継元が宮城県知事許可でも、承継先が既に国土交通大臣許可または宮城県以外の知事許可を持つ場合などは、国土交通大臣が認可庁になります。複数の知事許可業者が合併・分割に関係する場合も同様に判定が必要です。
営業所の都道府県構成が変わるときは、国土交通大臣許可と宮城県知事許可の違いと許可換え新規の仕組みも踏まえ、認可庁を事前に確認します。
必要書類|承継方式・法人個人・人員変更で変わります
必要書類は、新規許可に近い審査書類に、承継の事実を証明する契約書・会社決議・戸籍等を加える構成です。宮城県の提出書類一覧は条件記号が多いため、申請案件ごとにチェックリストを作ると漏れを防げます。
どの方式でも準備を検討する書類
- 建設業認可申請書の表紙と各方式の認可申請書
- 役員等、営業所、営業所技術者等に関する一覧・証明書
- 工事経歴書、直前3年の工事施工金額、使用人数
- 常勤役員等に関する証明・略歴・確認資料
- 営業所技術者等の資格・実務経験・常勤性資料
- 誓約書、欠格要件に関する調書・公的証明書
- 財務諸表、納税証明書、財産的基礎の確認資料
- 定款、登記事項証明書、営業所の確認資料
- 社会保険の加入状況と確認資料
- 代理申請の場合の委任状
新設会社、決算未到来、承継日と同時に人員が移る場合などは、申請時にそろわない書類を承継後2週間以内または30日以内に提出できる取扱いがあります。何でも後出しにできるわけではないため、宮城県の一覧表の「○・☆・□・■」を案件に合わせて確認します。
方式ごとに追加する中心資料
| 方式 | 中心となる固有資料 |
|---|---|
| 事業譲渡 | 譲渡・譲受契約書、法人の意思決定書類 |
| 合併 | 合併契約書または合併計画書、合併比率説明書、株主総会議事録等 |
| 会社分割 | 分割契約書または分割計画書、分割比率説明書、株主総会議事録等 |
| 相続 | 戸籍謄本等、申請者以外の相続人がいる場合の同意書 |
書類名がそろっていても、承継日、対象事業、許可業種、資産・負債、人員の移籍日が互いに食い違うと補正になります。契約書、議事録、登記予定、雇用・社会保険の資格取得日を同じ工程表で管理することが重要です。
認可後に何が変わるか|許可番号・有効期間・処分歴も確認します
認可後は、承継日に建設業者としての地位が承継先へ移ります。許可番号と有効期間は通常の代表者変更とは異なる扱いになるため、認可通知書に基づいて標識、契約書、請求書、元請先への登録情報などを更新します。関連する変更届の要否もあわせて確認してください。
宮城県の許可番号
宮城県の手引きでは、原則として承継元の許可番号を引き続き使用します。承継先も宮城県知事許可業者であるときは、承継元・承継先のどちらの番号を使うか認可申請時に選択でき、一度選んだ番号は変更できません。
番号の継続は取引先への説明や実績管理にも関係します。番号だけで決めず、経審、入札参加資格、工事台帳、各種登録との整合を確認して選びます。
許可の有効期間
譲渡・合併・分割では、承継前の許可の残存期間にかかわらず、承継日の翌日から新たに有効期間を起算します。相続は、宮城県の手引きでは認可日の翌日から起算するとされています。
従来の更新期限をそのまま引き継ぐと思い込まず、認可通知書の有効期間を期限管理表へ登録してください。建設業許可取得後にやることも承継後の管理に利用できます。
監督処分・経営事項審査等
承継先は、承継元の建設業者としての地位に立つため、承継元が受けた監督処分や経営事項審査の結果も承継すると宮城県は説明しています。一方、建設業法上の刑罰は、違反行為をした法人・個人に科されるもので、承継先へ承継されません。
入札参加資格は建設業許可・経営事項審査とは別制度です。発注機関ごとに合併・譲渡・相続時の届出や再審査を確認し、承継認可だけで入札資格も移ったと判断しないでください。
許可の空白が生じる典型例|承継日を先に確定しないことが重要です
許可の空白は、認可の対象外というより、申請時期・要件・契約設計のずれで生じることが多い問題です。認可前の効力発生、許可失効、相続期限超過、承継先の要件不足を先に潰します。
- 認可前に事業譲渡や合併・分割が効力発生した
- 35日前の申請が間に合わず、承継日までに認可が出ない
- 承継元の許可更新をせず、承継日前に失効した
- 相続開始から30日を超えて申請した
- 一部の許可業種だけを承継しようとした
- 同一業種の一般・特定が承継元と承継先で衝突した
- 承継日に常勤役員等や営業所技術者等が配置できない(詳しくは常勤役員等が退任・退職したら建設業許可はどうなる?)
- 営業所、社会保険、財産的基礎などの要件を承継先が満たさない
認可が難しい場合には、承継先が新規許可を申請する方法もあります。ただし、承継元の廃業と承継先の許可日の間に空白が生じれば、その期間は許可を要する工事を適法に請け負えません。新規、許可換え新規、般・特新規のどれに当たるかも含めて比較します。
実務の進め方|会社手続きと許可手続きを1本の工程表にします
承継認可は、許可書類だけ先に作っても完結しません。後継者、人員、契約、登記、税務、社会保険、取引先対応を同じ承継日へ合わせる工程管理が中心です。
- 承継元・承継先の許可通知書と最新の申請書控えを確認する
- 許可業種、一般・特定、許可行政庁、有効期限を一覧化する
- 事業譲渡・合併・分割・相続のどれに当たるか判断する
- 承継後の常勤役員等、営業所技術者等、営業所、人員移籍を設計する
- 管轄土木事務所へ事前相談し、申請先と必要書類を確定する
- 会社法・税務・登記・雇用・社会保険を含む日程を調整する
- 譲渡等は35日前までを下限とせず、余裕をもって認可申請する
- 認可後、標識・帳簿・契約・経審・入札・他許認可を更新する
承継後に一般から特定へ変更するなど、同じ業種の区分を変える計画がある場合は、承継と般・特新規を混同しないよう申請順を確認します。
よしだ行政書士事務所が事業承継認可を支援します
承継方式と申請先の整理、許可要件の事前点検、管轄土木事務所との事前相談、認可申請書・確認資料の作成を支援します。
事業承継では、行政書士の許可手続きだけでなく、登記、税務、社会保険・労務、契約実務の調整が必要です。司法書士、税理士、社会保険労務士、建築士等と連携し、それぞれの専門業務を切り分けて進めます。
ご相談時には、承継元・承継先の許可通知書、直近の許可申請書・決算変更届の控え、会社概要、予定している承継方式と希望日、役員・従業員の移籍案をご用意ください。
宮城県名取市を拠点に、宮城県全域を中心に東北6県からのご相談に対応しています。オンライン相談、訪問相談、土日祝日の予約相談も可能です。
まとめ|譲渡・合併・分割は契約・登記より先に認可日程を確認しましょう
建設業許可の事業承継認可は、許可の空白を避けながら、事業譲渡・合併・分割・相続で建設業者としての地位を引き継ぐ制度です。譲渡等は事前認可、相続は死亡後30日以内という違いを最初に押さえます。
宮城県では、譲渡・合併・分割の申請を遅くとも承継日の35日前までに完了させ、窓口で手続きします。全部承継、一般・特定の重複、承継先の許可要件を確認し、会社法・税務・登記・雇用・社会保険の予定を決める前に管轄土木事務所へ事前相談してください。制度全体は宮城県の建設業許可完全ガイドでも確認できます。
建設業許可の事業承継に関するFAQ
事業承継の認可は、一般的な相続やM&Aの感覚だけでは判断しにくい制度です。ここでは、相談時に確認されやすい論点を簡潔に整理します。
- 建設業法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100
- 建設業許可事務ガイドライン(国土交通省):https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001860020.pdf
- 建設業許可の手引き 令和8年3月改定版(宮城県):https://www.pref.miyagi.jp/documents/11957/202605banfull.pdf
- 建設業許可の手引き掲載ページ(宮城県):https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/jigyokanri/newkensetsugyoukyoka2602.html
- 建設業許可Q&A(宮城県):https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/jigyokanri/newkyokaqa.html

行政書士 吉田 貴之(よしだ たかゆき)
宮城県名取市を拠点に建設業許可・
産業廃棄物収集運搬許可を専門に
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