児童発達支援は儲かる?

  • URLをコピーしました!

児童発達支援は儲かる?売上・利益・収支モデルを解説【宮城県・仙台市】

「児童発達支援は儲かると聞いたが、本当なのか」「定員10名や15名なら、月にどのくらいの利益が残るのか」――こうした疑問をお持ちの方は少なくありません。

結論からいうと、児童発達支援は黒字化できる可能性がある一方、指定を受ければ自動的に儲かる事業ではありません。売上は利用日数、支援時間、基本報酬、加算・減算などによって変わりますし、支出の中心となる人件費は利用者が少ない開業直後から発生します。

さらに、2026年6月1日以降に新規指定された一般的な児童発達支援事業所には、一定の例外を除き、令和9年度報酬改定まで応急的な報酬単価が適用されます。新規参入を検討する方は、過去の報酬単価や既存事業所の決算だけを頼りに収支を予測しないことが大切です。

本記事では、定員15名の仮想モデルを用いて売上、費用、利益、損益分岐点を具体的に計算します。放課後等デイサービスとの併設を考える場合のポイント、仙台市内と仙台市外の宮城県内で準備する際の注意点も解説しますので、児童発達支援を開業するには?と併せてお読みください。

本記事の金額は、特定の事業所の実績、開業相場、利益保証を示すものではありません。実際の収支は、最新の報酬告示、利用児童の状況、支援時間、加算・減算、人員配置、賃料、送迎体制等を用いて個別に試算してください。

この記事でわかること

  1. 児童発達支援の収益構造と「儲かる」とは言い切れない理由
  2. 定員15名モデルの売上・費用・利益・損益分岐点
  3. 2026年度の新規事業所に適用される応急的報酬単価の影響
  4. 利益を左右する7つの要因と、よくある失敗の改善策
  5. 放課後等デイサービス併設時の収支管理の考え方
  6. 宮城県・仙台市で収支計画を作る際のチェックポイント
児童発達支援の新規参入を検討している法人・個人の方
放課後等デイサービスとの併設を検討している事業者の方
事業計画や資金計画に必要な利益・損益分岐点の目安を知りたい方
目次

児童発達支援は儲かるのか

児童発達支援の収益性は、制度上の報酬単価だけではなく、利用率、人員配置、欠席、加算・減算、賃料、送迎コストを組み合わせて判断する必要があります。

児童発達支援は、公費を主な財源とする障害児通所支援です。適正に請求できれば売上の回収可能性を見込みやすい反面、サービス提供量や報酬単価を事業者が自由に決められる事業ではありません。

収益面の特徴を整理すると、次のようになります。

特徴内容
報酬の算定方法利用児童1人ごとのサービス提供実績を基に報酬を算定する
基本報酬の違い支援時間、定員、事業所区分等によって基本報酬が異なる
加算要件を満たす支援、人員配置、連携等は加算で評価される場合がある
減算人員欠如、定員超過、支援プログラム未公表等は減算につながる場合がある
固定的支出人件費、家賃等の固定費は、利用率が低くても発生する
入金時差サービス提供月と給付費の入金月には時間差がある

したがって、「公費事業だから安定している」「定員が埋まれば大きく儲かる」と単純に考えることはできません。

なお、国の2026年度報酬改定資料では、児童発達支援は収支差率が一定水準以上で事業所数の伸びが続く類型として、新規事業所に応急的な基本報酬を適用する対象に含まれました。ただし、これは個々の事業所が高収益であることを意味しません。全国平均の収支差率と、特定地域・特定事業所の利益は分けて考える必要があります。

売上・利益・現金収支の違い

「売上がある」「利益が出る」「現金が足りる」は、それぞれ別の状態です。この3つを混同すると、収支計画で判断を誤りやすくなります。

売上

売上は、サービス提供により発生する収益です。児童発達支援では、基本報酬と、算定要件を満たす加算などが主な構成要素になります。

月間売上の概算 = 延べ利用回数 × 1回当たり平均収入

1回当たり平均収入には、基本報酬だけでなく、実際に算定できる加算と適用される減算を反映します。制度の詳細は児童発達支援の基本報酬・売上・収入の仕組みをご覧ください。

利益

利益は、売上から事業運営に必要な費用を差し引いた金額です。

利益 = 売上 − 人件費 − 賃料等 − 車両費 − その他の費用

役員報酬を費用に含めず、最後に残った金額を「利益」と表示すると、事業の実態を見誤ります。代表者が管理者や児童発達支援管理責任者(児発管)として働く場合も、その労働の対価である役員報酬は収支に含めてください。

現金収支

現金収支は、実際に入金・支払いがあった金額の差です。給付費はサービス提供と同じ月に入金されるわけではありません。返戻や過誤調整があれば、予定していた入金が翌月以降にずれることもあります。

借入金が入れば預金残高は増えますが、それは利益ではありません。反対に、借入元本の返済は会計上の費用ではなくても現金を減らします。損益計算書と資金繰り表の両方を作成することが必要です。

児童発達支援の収入内訳

児童発達支援の売上は、基本報酬を土台として、算定できる加算を加え、減算を差し引いて計算します。

1日当たりの収入 = 基本報酬 + 加算 − 減算

収支計画で確認すべき主な項目は次のとおりです。

区分収支計画で確認する内容
基本報酬事業所区分、定員、支援時間区分、利用児童の状態等
人員・支援に関する加算配置職種、資格、勤務実績、支援内容、記録、届出
家族・関係機関連携等の加算実際の相談援助・連携内容、回数、記録、算定上限
処遇改善加算届出、計画、賃金改善、実績報告等の要件
減算人員欠如、定員超過、運営上の義務未実施等
利用者負担受給者証、負担上限月額、上限額管理等

加算は「届出書を提出したから毎月満額入る収入」ではありません。対象児童が利用し、要件を満たす支援を実施し、必要な記録を残した場合にはじめて算定できるものがあります。開業前の事業計画では、確実性の低い加算を除いた保守的な売上と、算定できた場合の売上を分けて作成するのがおすすめです。

また、処遇改善加算は事業所の自由利益として扱う性質のものではありません。賃金改善等の要件を満たす必要があるため、収入と対応する人件費を同時に計画してください。

定員15名の売上・利益・収支モデル

本記事の標準モデルでは、100%利用時の月商を280万円、月額支出を250万円と仮定します。この場合の最大月間利益は30万円ですが、利用率が90%前後になるまで利益はほとんど残りません。

試算の前提条件

項目仮定
サービス一般的な児童発達支援事業所
利用定員15名
営業日月24日
利用可能枠月360回(15名×24日)
100%利用時の月商280万円
1回当たり平均収入約7,778円(280万円÷360回)
物件賃貸、延床約100㎡
月額賃料18万円
車両中古車1台
人員代表兼管理者兼児発管1名、常勤指導員2名、非常勤2名
代表報酬月30万円
月額支出250万円

この人員モデルが指定基準を満たすかどうかは、定員、サービス提供時間、職種、資格、勤務時間、常勤換算、兼務状況などで判断します。人数だけを見て採用計画を確定しないでください。詳しくは児童発達支援の人員配置基準で解説しています。

月額支出の内訳

費用区分月額モデル主な内容
人件費・法定福利費180万円給与、役員報酬、事業主負担の社会保険料等
賃料・共益費・駐車場25万円賃料18万円と付随費用
車両費10万円燃料、保険、整備、車検積立等
水道光熱・通信費9万円電気、ガス、水道、通信等
教材・衛生・支援関連費8万円教材、消耗品、衛生用品等
システム・事務費7万円請求、記録、会計、複合機等
保険・専門家・諸経費6万円賠償保険、会計・労務・行政手続等
広告・予備費5万円地域連携、広報、追加購入等
合計250万円仮想モデル

人件費180万円には代表者の報酬を含めています。一方、借入元本の返済、法人税等、大規模修繕、設備更新のすべてを網羅したものではありません。実際の経営判断では、減価償却費や支払利息を含む損益と、借入元本返済を含む資金繰りを別々に確認する必要があります。

利用率別の月間収支

利用率月間利用回数月商月額支出月間収支
30%108回84万円250万円▲166万円
50%180回140万円250万円▲110万円
70%252回196万円250万円▲54万円
80%288回224万円250万円▲26万円
90%324回252万円250万円2万円
100%360回280万円250万円30万円
利用率別の月間収支(万円) 30% ▲166万円 50% ▲110万円 70% ▲54万円 80% ▲26万円 90% +2万円 100% +30万円 ← 赤字 | 黒字 →

このモデルでは、利用率70%でも月54万円の赤字です。「利用児童が10人程度いる」という契約人数だけでは判断できません。週1回利用の児童と週5回利用の児童では延べ利用回数が大きく異なるため、契約者数ではなく曜日別の利用予定数で計算することが必要です。

年間収支に換算した場合

利用率が年間を通じて一定と仮定した場合の単純計算は次のとおりです。

平均利用率年間売上年間支出年間収支
70%2,352万円3,000万円▲648万円
80%2,688万円3,000万円▲312万円
90%3,024万円3,000万円24万円
100%3,360万円3,000万円360万円

開業初年度は利用率が徐々に上昇するため、年間平均利用率が低くなりやすい点にご注意ください。児童発達支援の開業資金の記事では、利用率30%から開始して毎月5ポイントずつ上昇する9か月間の資金繰りを試算しています。

損益分岐点と黒字化に必要な利用率

損益分岐点とは、利益がちょうどゼロになる売上水準のことです。本モデルでは月商250万円、利用率約89.3%が単純計算上の損益分岐点になります。

損益分岐点利用率 = 月額支出250万円 ÷ 100%利用時月商280万円 = 約89.3%

月360回の利用枠に当てはめると、月約322回、1営業日平均約13.4人の利用が必要です。定員15名に対し、平均13~14名程度の実利用を維持する計算になります。

ただし、この計算では費用250万円を一定としています。実際には利用者が増えれば教材費、衛生費、送迎費などの変動費も増えます。反対に、人員配置や送迎体制を見直して月額支出を抑えられれば、損益分岐点は下がります。

月額支出別の損益分岐点

100%利用時月商を280万円とした場合、支出の違いによる損益分岐点の変化は次のとおりです。

月額支出損益分岐点利用率月間利用回数の目安
220万円約78.6%約283回
230万円約82.1%約296回
240万円約85.7%約309回
250万円約89.3%約322回
260万円約92.9%約334回

ただし、人件費を削って支出を下げればよいという意味ではありません。必要な職員配置を欠けば、減算、指定基準違反、安全性低下、支援品質の低下につながります。黒字化は、必要な人員と安全を確保したうえで、勤務時間、送迎、役割分担、記録・請求業務を効率化して実現すべきものです。

2026年度の新規事業所に適用される応急的報酬単価

2026年6月1日以降に新規指定された児童発達支援事業所には、原則として令和9年度報酬改定まで、従前の基本報酬の1000分の988に相当する応急的単価が適用されます。

こども家庭庁の「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」では、次の対象が示されています。

項目内容
対象サービス児童発達支援、放課後等デイサービス等
対象事業所2026年6月1日以降に新規指定された事業所
児童発達支援所定の基本報酬単位数の1000分の988
放課後等デイサービス所定の基本報酬単位数の1000分の982
適用期間令和9年度報酬改定まで

重症心身障害児、医療的ケア児等への支援、離島・中山間地域、自治体が客観的に必要とした事業所等については、一定の配慮措置があります。配慮措置には事業所全体に適用されるものと利用児童単位で判断されるものがあるため、指定権者と最新資料で確認してください。児童発達支援の指定申請の手続きも併せて確認しておくと安心です。

標準モデルへの影響

本モデルの月商280万円すべてに1.2%の減少を仮に当てはめると、月商は約276.6万円となり、月約3.4万円、年約40.3万円の差が生じます。

ただし、1000分の988が適用されるのは基本報酬であり、売上全体を一律1.2%減らす計算は正確ではありません。実際の影響額は、基本報酬と各加算の構成に基づいて再計算してください。この概算は、影響の上限感を把握するための単純化した例です。

また、2026年6月1日以降に児童発達支援と放課後等デイサービスを多機能型として新規指定する場合、該当する両事業が応急的単価の対象になります。既存サービスへ新しいサービスを追加する場合は、既存サービスには適用されず、新規指定されたサービスに適用されるのが原則です。

新規参入を検討している方は、過去の基本報酬表をそのまま使わず、こども家庭庁の令和8年度報酬改定資料と指定権者の案内を確認してください。

児童発達支援の利益を左右する7つの要因

1.延べ利用回数と曜日別の稼働率

利益を最も直接的に左右するのは、契約者数ではなく延べ利用回数です。

定員15名でも、月曜日は満員なのに金曜日は半分、という状態では平均利用率は下がります。契約者数だけでなく、児童ごとの予定曜日、利用日数、欠席率、振替可能性を月間カレンダーへ落とし込んで確認しましょう。

2.支援時間と1回当たり平均収入

基本報酬は、支援時間区分等によって異なります。見学時に想定していた利用時間と、実際の個別支援計画・サービス提供時間が異なれば、平均収入も変わります。

「1人利用すれば一律○円」と置くのではなく、直近の報酬算定構造に基づいて利用児童ごとに試算するのが確実です。

3.人件費と配置の安定性

児童発達支援では人件費が最大の支出になりやすいため、採用計画と利用計画を一体で作る必要があります。

児童発達支援管理責任者、児童指導員、保育士等の必要な配置を満たすことが前提です。欠勤、休憩、研修、送迎、会議の時間も含めて勤務表を作成しなければ、表面上は人数が足りていても、サービス提供時間中に配置不足となるおそれがあります。

過剰配置は利益を圧迫しますが、最低人数だけで余裕なく運営すると、欠勤時にサービス提供を縮小したり、採用コストが増えたりするリスクがあります。

4.加算と減算

加算は収入を増やしますが、要件を満たすために追加職員、研修、記録、連携等が必要になる場合があります。

加算の実質効果 = 加算収入 − 追加人件費 − 研修・管理等の追加費用

加算額だけを見るのではなく、必要な支出と業務量を差し引いた後の効果を確認してください。また、支援プログラムの作成・公表など基本的な児童発達支援の運営基準を怠ると減算が適用されることがあります。仙台市は、支援プログラムの公表について届出がない場合、基本報酬を15%減算すると案内しています。多機能型ではサービスごとの届出が必要です。

5.欠席、キャンセル、送迎の空振り

未就学児は、感染症、体調不良、園行事、家庭事情などにより欠席が生じやすい傾向があります。定員いっぱいの予約を入れていても、実利用が常に定員どおりになるとは限りません。

欠席を過小評価すると、売上を過大に見積もることになります。曜日別・月別の欠席率を記録し、利用調整や振替の仕組みを検討しましょう。ただし、利用日数や支援の必要性を超えて利用を促すことは適切ではありません。

6.賃料、駐車場、送迎コスト

仙台市中心部では賃料や駐車場代が高くなる可能性があります。郊外や仙台市外では賃料を抑えられる場合がある一方、送迎距離、燃料費、車両台数、運転者の拘束時間が増えることがあります。

物件は家賃だけで比較せず、「賃料+駐車場+送迎+採用+改修費」のトータルで比較します。児童発達支援事業所の物件選びも併せてご確認ください。

7.請求精度と入金管理

支援を実施しても、実績記録、個別支援計画、加算記録、体制届等が整っていなければ、適正に請求できない場合があります。返戻が続くと、会計上の売上だけでなく資金繰りにも影響が出ます。

請求担当者だけに任せず、児発管、管理者、支援職員が、支援・記録・請求のつながりを理解する体制づくりが大切です。

放課後等デイサービスを併設すると儲かるのか

児童発達支援と放課後等デイサービスの併設は、設備や管理機能を共用できる可能性がありますが、利益が自動的に増えるわけではありません。

児童発達支援は主として就学前の児童、放課後等デイサービスは就学児を対象とします。日中と放課後で利用時間帯を補完できる可能性があるため、多機能型を選ぶ事業者は少なくありません。児童発達支援と放課後等デイサービスの違いも理解しておくと、サービス設計の土台になります。

併設によって共用できる可能性があるもの

  • 事務室、相談室、職員休憩スペース
  • 通信、請求、記録等のシステム
  • 管理業務の一部
  • 一定の要件を満たす人員・設備
  • 広報、採用、研修等の間接費

併設によって増える可能性があるもの

  • サービス別の必要人員と勤務時間
  • 保育所・学校等への送迎車両と運転者
  • 未就学児・就学児それぞれに適した教材や設備
  • 長時間開所による人件費・光熱費
  • サービス別の支援プログラム、個別支援計画、記録、請求管理
  • 長期休暇中の同時利用に対応するスペースと職員

⚠ 人員の二重計上に注意

同じ職員を同じ時間帯に児童発達支援と放課後等デイサービスへ二重計上しないでください。午前中は児発、放課後は放デイという計画でも、送迎、休憩、会議、記録、長期休暇時の重なりまで確認する必要があります。

多機能型の収支はサービス別に管理する

併設事業所では、全体の預金残高だけを見ても、どちらのサービスが利益を生んでいるか分かりません。次の3段階で管理します。

  1. 児童発達支援の売上と直接費を集計する
  2. 放課後等デイサービスの売上と直接費を集計する
  3. 家賃、管理者人件費、システム費等の共通費を合理的な基準で配分する
多機能型の採算確認フロー ① 児発・放デイそれぞれの利用枠を設定 ② サービス別に利用率と1回当たり平均収入を計算 ③ サービス別の直接人件費・送迎費・教材費を計算 ④ 家賃・管理費等の共通費を配分 ⑤ 児発・放デイ・事業所全体の利益を確認 ⑥ 長期休暇・欠席増・職員欠勤の感度分析を行う ※人員・設備の共用可否や定員の取扱いは、指定内容・利用時間帯・ 事業所の実態等によって異なります。計画段階で指定権者へ確認してください。

放課後等デイサービス側の収益構造については、放課後等デイサービスの売上・収入と収益の仕組みもご覧ください。制度上の取扱いは児童発達支援・放課後等デイサービスの多機能型で解説しています。

宮城県・仙台市で収支計画を作るポイント

報酬制度は全国共通でも、指定申請先、事前相談、物件費、採用環境、送迎範囲、地域需要は立地によって異なります。

仙台市内で開業する場合

仙台市内の事業所は、仙台市が指定申請・届出先です。仙台市は、令和8年3月発行の各種届出に関する手引き、新規指定申請時の提出書類、建築・消防に関する事前確認等を案内しています。

収支計画では、次の点を確認してください。

  • 区ごとの賃料、駐車場代、送迎距離
  • 保育所、認定こども園、医療機関、相談支援事業所等との連携可能性
  • 競合事業所の定員だけでなく、対象児童、支援時間、空き状況
  • 児発管、保育士、児童指導員、専門職等の採用可能性と給与水準
  • 物件契約・工事前の指定、建築、消防確認

開業手続の地域実務は仙台市で児童発達支援を開業する方法で確認できます。

仙台市外の宮城県内で開業する場合

仙台市外の宮城県内では、一般的な児童発達支援事業所について宮城県が指定申請・届出先となるのが基本です。宮城県は、仙台市内の場合は仙台市が申請・届出先になること、指定希望日の概ね1か月以上前までに申請すること等を案内しています。

市町村部では賃料を抑えられる場合がありますが、次の費用が増える可能性があります。

  • 広域送迎に必要な車両、燃料、運転時間
  • 職員募集の広告費、紹介料、通勤手当
  • 研修や専門職連携のための移動費
  • 大雪、災害、道路事情等による休業・送迎リスク

需要調査では未就学児人口だけでなく、自治体の障害児福祉計画、既存事業所、待機状況、保育所等のニーズ、相談支援体制を確認します。宮城県で児童発達支援を開業する方法もご覧ください。

収支計画でよくある失敗と改善策

⚠ 開業初月から高い利用率で計算する

指定日から定員いっぱいの利用を前提にすると、運転資金が不足しやすくなります。利用率30%、50%、70%、90%等の複数ケースを作り、利用者獲得が3~6か月遅れた場合も試算しましょう。

⚠ 契約者数と利用回数を混同する

契約児童が15名いても、全員が毎日利用するとは限りません。曜日別の利用予定表を作り、延べ利用回数で売上を計算することが大切です。

⚠ 取得予定の加算を全額売上に入れる

加算は、要件、届出、支援実績、記録、算定開始時期等を確認します。「加算なし」「確実性の高い加算のみ」「計画する全加算」の3ケースに分けて試算すると安全です。

⚠ 代表者の給与を経費から外す

代表者が現場で働く場合、役員報酬等を人件費に含めてください。代表者報酬をゼロとして黒字に見せても、生活費を確保できなければ継続可能な事業計画とはいえません。

⚠ 借入返済と利益を混同する

借入元本の返済は損益計算上の経費ではありませんが、毎月の現金を減らします。損益が黒字でも返済後に資金不足となることがあるため、資金繰り表を別に作成しましょう。

⚠ 児発と放デイの売上だけを合算する

多機能型では、サービス別の売上、直接費、共通費を分けて管理します。送迎や利用時間の重なりによる追加人件費を入れずに、売上だけを合算してはいけません。

⚠ 指定・建築・消防の確認前に物件を契約する

使用できない物件や大規模改修が必要な物件を契約すると、利益計画以前に開業資金が不足します。児童発達支援の設備基準を確認し、指定権者、建築担当部署、消防署等への事前確認を進めてください。

児童発達支援の収益を安定させるための確認項目

次の項目を、開業前から月次で確認していくことをおすすめします。

  • 曜日別の定員、予約数、実利用数、欠席数
  • 延べ利用回数と平均利用率
  • 1回当たりの基本報酬、加算、減算、平均売上
  • 返戻件数、返戻理由、再請求月
  • 職種別人件費、法定福利費、残業、採用費
  • 送迎1便当たりの児童数、距離、時間、車両費
  • 加算ごとの収入と追加費用
  • 児発・放デイ別の売上、直接費、共通費配分
  • 月次利益と預金残高
  • 3か月後、6か月後までの資金繰り

収益改善は、支援の必要性を無視して利用回数を増やしたり、必要な職員を減らしたりすることではありません。適正な支援と記録を行い、地域のニーズに応え、職員が継続して働ける状態をつくることが、長期的な収益の基盤になります。

まとめ|児童発達支援は「利用率と人件費の設計」が収益を左右する

  • 児童発達支援は黒字化できる可能性がありますが、指定を受けるだけで儲かる事業ではありません。
  • 本記事の定員15名モデルでは、100%利用時月商280万円、月額支出250万円、損益分岐点利用率は約89.3%です。
  • 2026年6月1日以降の新規指定には、一定の例外を除き、児童発達支援は従前の基本報酬の1000分の988、放デイは1000分の982の応急的単価が適用されます。
  • 放課後等デイサービス併設は共用による効率化が期待できますが、サービス別の人員、送迎、記録、請求、収支管理が必要です。
  • 仙台市内と仙台市外では指定申請先が異なり、賃料、採用、送迎、地域需要も個別に調査する必要があります。

児童発達支援の事業計画では、報酬単価だけでなく、指定基準、人員、物件、利用者確保、開業資金、資金繰りを一体で検討することが大切です。開業全体の流れは児童発達支援の開業・指定申請完全ガイドで整理しています。児童発達支援の開業スケジュールも併せて確認しておくと、準備期間の全体像がつかめます。

よしだ行政書士事務所が児童発達支援の開業・指定申請を支援します

  • 指定申請書類の作成・提出代行
  • 人員配置・物件・設備基準の事前確認
  • 事業計画、開業スケジュールの整理
  • 開業後の届出、変更届、加算届の支援

宮城県名取市を拠点に、宮城県全域を中心に東北6県からのご相談に対応しています。オンライン相談、訪問相談、土日祝日の予約相談も可能です。

よくある質問(FAQ)

児童発達支援は本当に儲かりますか?
黒字化できる可能性はありますが、必ず儲かるわけではありません。利用率、1回当たり平均収入、人件費、賃料、送迎費、加算・減算によって結果が大きく変わります。指定取得は収益の保証ではありません。
児童発達支援の月商はいくらですか?
一律の金額はありません。本記事の仮想モデルでは、定員15名、月24日営業、利用率100%で月商280万円と置いていますが、これは相場ではありません。最新の報酬単位と実際の利用見込みから計算してください。
利益率は何%あれば安全ですか?
全事業所に共通する安全な利益率はありません。借入返済、車両・設備更新、賞与、採用費、休業リスク等を含め、必要な内部留保を確保できるかどうかで判断します。平均収支差率だけを目標にしないことが重要です。
定員10名なら何人利用すれば黒字になりますか?
定員だけでは計算できません。月額支出と、支援時間・加算・減算を反映した1回当たり平均収入が必要です。「月額支出÷1回当たり平均収入」で必要な延べ利用回数を計算し、営業日数で割って1日平均を求めます。
加算を多く取れば利益は増えますか?
加算収入が増えても、追加人件費や業務負担を差し引く必要があります。要件を満たす支援と記録が前提であり、処遇改善加算等は収入全額を自由利益として扱えるものではありません。
2026年に新規開業すると基本報酬は下がりますか?
2026年6月1日以降の新規指定では、一定の例外を除き、児童発達支援の基本報酬に1000分の988の応急的単価が適用されます。適用は令和9年度報酬改定までとされ、重度障害児等や地域ニーズへの配慮措置があります。最新の告示・Q&Aと指定権者への確認が必要です。
放課後等デイサービスを併設すれば収益は安定しますか?
利用時間帯を補完できる可能性はありますが、必ず安定するとは限りません。長期休暇や送迎時間の重なり、追加職員、車両、教材、サービス別管理に必要な費用を含めて比較する必要があります。
開業初年度から黒字にできますか?
可能な場合はありますが、高い利用率を前提にしない資金計画が重要です。開業直後は利用率が低く、給付費の入金にも時間差があります。黒字化が遅れた場合に備えて十分な運転資金を準備してください。
仙台市と仙台市外で売上単価は違いますか?
報酬は国の制度を基本としますが、収支は立地によって変わります。賃料、駐車場、送迎距離、採用環境、地域需要等が異なるためです。指定申請先も、仙台市内は仙台市、仙台市外の宮城県内は原則として宮城県となります。
行政書士には収支計画まで相談できますか?
指定申請や開業工程に関連する事業計画、必要人員、物件、費用項目の整理についてはご相談いただけます。税務申告、会計監査、社会保険手続、融資審査、建築設計等は、それぞれの専門家や金融機関との連携が必要です。

凡例・注釈

児童発達支援
主として就学前の障害児に対し、日常生活上の基本動作、知識技能、集団生活への適応等に必要な支援を行う障害児通所支援です。
放課後等デイサービス
主として就学している障害児に対し、授業終了後または学校休業日に必要な支援を行う障害児通所支援です。
多機能型
複数の障害福祉サービスまたは障害児通所支援を一体的に行う事業所の取扱いです。人員・設備等の特例は個別に確認が必要です。
利用率
本記事では、月間の利用可能な延べ利用枠に対する実際の延べ利用回数の割合です。
月商
サービス提供によって発生する月間売上のモデルです。現金入金額とは異なります。
月間収支
本記事では月商から月額支出を差し引いた単純化した金額です。税金、借入元本返済等をすべて含むものではありません。
損益分岐点
売上と費用が等しくなり、利益がゼロになる水準です。

※本記事は、児童発達支援センターではない一般的な児童発達支援事業所を中心に解説しています。
※売上、費用、利益、利用率等は仮想モデルであり、実際の収益や融資可能額を保証するものではありません。

参考情報・参考資料

  1. 児童福祉法(国・e-Gov法令検索)── 障害児通所支援、指定障害児通所支援事業者、障害児通所給付費の法的根拠
    https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000164(最終確認:2026年8月15日)
  2. 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)(国・e-Gov法令検索)── 指定児童発達支援の人員・設備・運営基準
    https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=424M60000100015(最終確認:2026年8月15日)
  3. 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について(こども家庭庁)── 新規指定事業所の応急的報酬単価、報酬告示、留意事項、Q&A、報酬算定構造
    https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/r8hoshukaitei(最終確認:2026年8月15日)
  4. 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(こども家庭庁・厚生労働省、2026年3月)── 児童発達支援は従前基本報酬の1000分の988、放課後等デイサービスは1000分の982となる応急的単価と配慮措置
    https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/…(最終確認:2026年8月15日)
  5. 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1(こども家庭庁・厚生労働省、2026年3月31日)── 応急的報酬単価の対象、適用日、適用期間、多機能型、重度障害児等・地域への配慮措置
    https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/…(最終確認:2026年8月15日)
  6. 障害児通所支援事業者・障害児入所施設の指定申請等様式(宮城県、2026年7月2日掲載)── 指定申請様式、申請時期、仙台市内外の申請・届出先
    https://www.pref.miyagi.jp/site/syoufuku-top/si230071.html(最終確認:2026年8月15日)
  7. 介護給付費等の算定に係る届出書等(宮城県、2026年8月6日掲載)── 加算届、算定開始時期、支援プログラムの作成・公表と減算
    https://www.pref.miyagi.jp/site/syoufuku-top/kasan001.html(最終確認:2026年8月15日)
  8. 障害福祉サービス事業者等の指定・変更等の申請・届出について(仙台市、2026年7月1日更新)── 令和8年3月発行の各種届出に関する手引き、新規指定、変更、更新、建築・消防確認への導線
    https://www.city.sendai.jp/shogaishien-shido/jigyosha/fukushi/fukushi/shogai/jigyosho/shiteshinse.html(最終確認:2026年8月15日)
  9. 障害児通所支援における支援プログラムの公表について(仙台市、2026年2月6日更新)── 支援プログラムの公表・届出、未公表減算、多機能型のサービス別届出
    https://www.city.sendai.jp/shogaishien-shido/jigyosha/fukushi/fukushi/shogai/jigyosho/shienprogram.html(最終確認:2026年8月15日)
本記事の内容は、2026年8月15日時点の法令、告示、通知、公開資料等に基づく一般的な解説であり、特定の行政判断、財務上の助言、融資審査の合否、利益の保証を行うものではありません。実際の事業開始にあたっては、最新の法令・報酬告示・指定権者の案内を確認し、税理士、社会保険労務士、司法書士、建築士、金融機関等の専門家と連携してください。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次