目次
営業所技術者等が退職したら建設業許可はどうなる?後任者・変更届を解説【宮城県】
営業所技術者等が「来月で退職する」「急に辞めてしまった」「別の営業所へ異動することになった」。
建設業許可を持つ会社にとって、これは通常の人事異動だけで終わる話ではありません。
営業所技術者等は建設業許可の要件の一つです。退職・異動などによって営業所に必要な営業所技術者等を置けなくなった場合は、許可業種を維持できるかをすぐ確認し、後任者の選定と変更届を進める必要があります。
宮城県知事許可では、令和8年3月改定版の「建設業許可の手引き(電子申請版)」において、営業所技術者等の変更・追加・削除は変更後2週間以内と整理されています。
「退職した人を名義上そのまま残しておけばよい」という対応はできません。後任者が要件を満たさない場合や、後任者そのものがいない場合は、一部の許可業種を廃業する手続きが必要になることもあります。
当事務所では、宮城県内の建設事業者から、営業所技術者等の変更、後任者の資格・実務経験確認、変更届、許可業種の整理について相談を受け付けています。
この記事の結論
営業所技術者等が退職した場合に、まず確認するポイントは次の5つです。
| 確認事項 | 確認する内容 |
|---|---|
| 1. 退職日・異動日 | いつから現在の営業所技術者等を配置できなくなるか |
| 2. 担当業種 | その人がどの営業所で、どの許可業種を担当しているか |
| 3. 後任者 | 同じ営業所に要件を満たす後任者を置けるか |
| 4. 後任者の証明資料 | 資格、実務経験、常勤性等を何で証明するか |
| 5. 変更届 | 宮城県知事許可では原則として変更後2週間以内に手続きを行う |
後任者がすぐ決まる場合は、営業所技術者等の交代として変更届を行います。
一方、後任者がいない場合は、「しばらく空席にしておく」という考え方ではなく、その営業所・その許可業種を維持できるのか、一部廃業等が必要なのかを確認しなければなりません。
対象読者
この記事は、次のような宮城県内の建設事業者を対象にしています。
営業所技術者等が退職すると何が問題になるのか
営業所技術者等が退職した場合、問題になるのは「従業員が1人減ったこと」ではなく、建設業許可の技術者要件を満たし続けられるかどうかです。
「営業所技術者等」とは、建設工事の請負契約を行う営業所に置く、一定の資格や実務経験を持つ技術者です。以前は「専任技術者」という名称で検索されることが多い要件です。
営業所技術者等の基本要件については、営業所技術者等(旧・専任技術者)の資格・実務経験・配置要件で詳しく解説しています。
退職者が複数業種を担当していた場合は、その人がいなくなることで複数業種の許可維持に影響することがあります。
たとえば、1人の営業所技術者等が「土木工事業」と「とび・土工工事業」の両方を担当している会社で、その人が退職する場合です。後任者が土木工事業の要件しか満たしていなければ、とび・土工工事業について別の後任者を用意するか、許可業種の整理を検討する必要があります。
営業所技術者等は「許可を取るときだけ」の要件ではない
営業所技術者等の配置要件は、建設業許可を取得した時点だけ満たせばよいものではありません。許可を受けた後も継続して満たす必要があります。
建設業法では、一般建設業について営業所技術者に関する基準が定められ、特定建設業についても特定営業所技術者に関する基準が設けられています(一般建設業と特定建設業の違いもあわせてご確認ください)。
そのため、次のような事情が発生したときは、許可維持に影響しないか確認が必要です。
- 退職
- 他営業所への異動
- 常勤ではなくなる
- 他社で常勤勤務することになった
- 担当する許可業種を変更する
- 資格や実務経験の前提に誤りが判明した
- 営業所を廃止・新設する
常勤性や兼務の考え方は、建設業許可の常勤性とは?他社役員・個人事業との兼務を解説も確認してください。
退職が決まったら最初に確認すること
退職の話が出た段階で、後任者を探す前に「現在の営業所技術者等が何を担当しているのか」を整理することが先です。
退職日を確定する
届出期限を考えるうえでも、いつ営業所技術者等でなくなるのかを明確にします。
退職日が月末なのか、有給消化に入った時点から勤務実態が変わるのか、出向・転籍なのかなど、事実関係を整理します。
担当営業所を確認する
本店だけでなく、支店・営業所にも建設業法上の営業所がある会社では、「誰がどこの営業所技術者等か」を確認します。
担当している許可業種を確認する
退職者が1業種だけ担当しているとは限りません。
現在の建設業許可申請書、過去の営業所技術者等証明書、営業所一覧表などを確認し、担当業種を洗い出します。
後任候補者を確認する
後任者については、単に「現場経験が長い」「資格を持っている」だけでは判断しません。
- 対象業種に対応する資格があるか
- 学歴+実務経験で要件を満たすか
- 必要な実務経験年数を証明できるか
- 常勤性を確認できるか
- 他社や他営業所との兼務に問題がないか
を確認します。
資格で判断する場合は、業種別・営業所技術者等になれる資格一覧を参照してください。
資格がなく実務経験で証明する場合は、営業所技術者等を実務経験で証明する方法で、どのような資料を準備するか確認できます。
後任者を置ける場合の手続き
後任者が営業所技術者等の要件を満たす場合は、退職者の削除と後任者の追加・変更を一連の変更届として行います。
変更のイメージ
たとえば、
- 退職者A:土木工事業・舗装工事業を担当
- 後任者B:土木工事業・舗装工事業の両方の要件を満たす
という場合は、AからBへ担当者を交代する形で届出を行います。
一方、
- 退職者A:土木・舗装
- 後任者B:土木のみ
- 後任者C:舗装のみ
という場合は、1人の後任者に置き換えるのではなく、担当業種ごとに複数人で引き継ぐことも考えられます。
大切なのは「人の交代」だけを見るのではなく、営業所ごと・許可業種ごとに要件者が切れない形を作ることです。
後任者がいない場合はどうなる?
営業所技術者等の後任者がいない場合、許可業種をそのまま維持できるとは限りません。
国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、営業所技術者等を削除する場面として、許可を受けている建設業の一部廃業などが想定されており、一部廃業の場合には廃業届と営業所技術者等に関する届出を同時に行う取扱いが示されています。
「後で採用するから空席でもよい」とは考えない
建設業許可は、必要な人的要件を継続して満たすことが前提です。
退職者がいなくなった後に、数か月かけて後任者を採用するという計画であっても、その空白期間を当然に認めてもらえる制度ではありません。
退職が予定されているなら、退職前に後任候補者を確定し、資格・実務経験・常勤性の確認を終わらせておくことが理想です。
一部業種だけ廃業するケース
後任者が一部の業種しか担当できない場合、要件を満たせない業種のみ一部廃業し、残りの業種の許可を維持することが考えられます。
ただし、一部廃業を行うと、その業種について許可業者として請け負える範囲に影響します。現在受注中・見積中の工事がある場合は、工事内容も含めて整理が必要です。
自社だけで判断せず、宮城県の管轄土木事務所への事前確認を検討してください。
宮城県知事許可では変更後2週間以内に届出
宮城県の令和8年3月改定版「建設業許可の手引き(電子申請版)」では、営業所技術者等の変更・追加・削除は「変更後2週間以内」とされています。
ここでいう期限は、営業所技術者等に変更が生じた日を基準に考える期限です。
退職の場合は退職日、異動の場合は実際に配置が変わった日など、変更事実がいつ発生したかを確認します。
「次の更新申請のときにまとめて出せばよい」という扱いではありません。
建設業許可の変更届全体については、建設業許可の変更届一覧|役員・所在地・営業所・技術者の変更で整理しています。
宮城県ではJCIPによる届出が可能
宮城県の電子申請版手引きでは、建設業許可の変更届は「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」の対象手続きです。
一方で、書面提出も可能とされており、書面の場合は管轄土木事務所窓口での受付となります。
宮城県知事許可では、所在地に応じて仙台土木事務所、大河原土木事務所、北部土木事務所、東部土木事務所、気仙沼土木事務所などが管轄します。
なお、宮城県の入札参加資格は建設業許可とは別制度です。建設業許可の変更によって入札参加登録にも影響がある場合は、別途、入札参加資格側の手続きも確認してください。
営業所技術者等の変更で準備する書類・確認資料
必要書類は「変更届の様式」と「後任者が本当に要件を満たしていることを確認する資料」に分けて考えると整理しやすくなります。
主な届出書類
一般的には次のような書類が中心になります。
- 変更届出書(様式第二十二号の二)
- 営業所技術者等証明書(新規・変更)(様式第八号)
- 必要に応じて届出書(様式第二十二号の三)
- 一部廃業を伴う場合は廃業届
実際にどの様式を組み合わせるかは、単純な交代なのか、削除のみなのか、一部廃業を伴うのかで変わります。
後任者の資格を確認する資料
資格で要件を満たす場合は、資格者証・免状等の確認が中心になります。
「1級だからすべての業種を担当できる」というわけではありません。資格と建設業の業種には対応関係があるため、担当予定の業種ごとに確認します。
実務経験で証明する場合
実務経験を使う場合は、単に本人が「10年以上やっています」と説明するだけでは足りません。
どの会社で、どの期間に、どの業種の工事に従事したかを整理し、宮城県が確認できる資料を準備します。
過去の許可申請書、工事請負契約書、注文書、請求書、確定申告関係資料など、使える資料はケースによって異なります。
常勤性を確認する資料
宮城県の電子申請版手引きでは、営業所技術者等について「常勤性を確認する資料」が確認資料として示されています。
誰を後任にするか決めるときは、資格だけでなく、
- 社会保険の加入状況
- 給与の支払い
- 勤務先・勤務実態
- 住所と営業所との距離
- 他法人・個人事業との兼務
なども確認します。
退職前に確認しておきたい資料チェックリスト
営業所技術者等の退職が決まったら、次の資料を早めに集めてください。
- 現在の建設業許可通知書
- 直近の許可申請書控え
- 営業所技術者等証明書の控え
- 営業所一覧表
- 許可業種一覧
- 退職予定者の担当業種
- 後任候補者の資格者証・免状
- 後任候補者の職歴・学歴
- 実務経験を使う場合の工事資料
- 後任候補者の常勤性確認資料
- 退職日・異動日が分かる社内資料
- 現在施工中・受注予定の工事一覧
実務では、後任者の名前を決めることより、「その人を営業所技術者等として行政庁に説明できる資料があるか」の確認に時間がかかることがあります。
特に実務経験を使う場合、過去の工事資料が残っていないと証明が難しくなるため、退職日が迫ってから確認を始めるのは避けたいところです。
よくある誤解
誤解1.資格者が社内にいれば誰でも後任になれる
資格者が社内にいても、その資格が担当する許可業種に対応しているとは限りません。
また、営業所技術者等には常勤性などの確認も必要です。
誤解2.退職者を変更届に残したままでもよい
実際には退職している人を営業所技術者等として残しておくことはできません。
変更が生じたら、事実に合わせて届出を行う必要があります。
誤解3.更新までに後任者を決めればよい
営業所技術者等の変更は、宮城県の建設業許可更新とは別の変更届です。
宮城県知事許可では、営業所技術者等の変更・追加・削除について変更後2週間以内とされています。
誤解4.後任がいなければ許可が自動的に消える
「退職日の翌日に許可証が自動的に消える」という単純な仕組みではありません。
しかし、許可要件を欠いたまま事業を続けてよいという意味でもありません。後任者を置けない場合は、一部廃業等を含め、許可行政庁への届出・対応を検討する必要があります。
誤解5.別営業所の技術者をそのまま移せる
営業所技術者等は営業所ごとの配置を前提に確認されます。
別営業所から異動させる場合は、異動元の営業所で新たに要件欠如が生じないかも確認してください。
営業所そのものの新設・移転・廃止が伴う場合は、建設業許可の営業所を新設・移転・廃止するときの手続きもあわせて確認する必要があります。
宮城県への事前確認を検討した方がよいケース
次のようなケースは、書類を作成する前に宮城県の管轄土木事務所へ確認した方が安全です。
- 後任者を実務経験で立てたいが、工事資料が十分に残っていない
- 資格名と担当業種の対応が分かりにくい
- 1人で複数業種を担当させたい
- 複数営業所を兼務できるか判断しにくい
- 他社役員・個人事業との兼務がある
- 出向者を後任にしたい
- 退職日と有給消化期間の扱いが複雑
- 営業所の移転・廃止も同時に行う
- 一部業種の廃業が必要か判断できない
- 特定建設業の営業所技術者等を変更する
特に実務経験の確認資料は、会社ごとに残っている資料が違います。
「この資料があれば必ず認められる」とは言い切れません。何年分、どの種類の資料をどのように組み合わせるかを整理し、必要に応じて宮城県へ事前確認してください。
営業所技術者等と常勤役員等の退職は別の論点
営業所技術者等と「常勤役員等」は、どちらも建設業許可の人的要件ですが、役割も証明内容も異なります。
同じ人が会社内で複数の役割を担っている場合、退職によって営業所技術者等だけでなく常勤役員等の要件にも影響することがあります。
常勤役員等が退任する場合は、常勤役員等が退任・退職したら建設業許可はどうなる?を確認してください。
当事務所が支援できること
営業所技術者等の退職対応では、「変更届を1枚作る」だけでは不十分なことがあります。
当事務所では、宮城県内の建設事業者について、次のような確認・手続きを支援しています。
- 現在の営業所技術者等と担当業種の整理
- 後任候補者の資格確認
- 学歴・実務経験による要件確認
- 常勤性・兼務状況の確認
- 宮城県への事前確認
- 営業所技術者等変更届の作成・提出支援
- 後任者不在時の許可業種整理
- 一部廃業が必要な場合の手続き
- 他の変更届との同時整理
- 更新や決算変更届まで含めた許可管理
当事務所は宮城県名取市を拠点に、仙台市を中心に宮城県全域の建設業許可に対応しています。オンライン相談、訪問相談、土日祝日の予約相談にも対応しています。
建設業許可は、取得した後も人的要件、営業所、役員、決算変更届、更新期限などを継続して管理する必要があります。
当事務所では、単に変更届を提出するだけでなく、「次の人事異動でまた許可要件を欠かないか」「将来取得したい業種を誰が担当するか」まで見据えて支援することを重視しています。
許可取得後の管理全体については、建設業許可取得後にやることもあわせて確認してください。
よしだ行政書士事務所が営業所技術者等の退職・変更届を支援します
- 後任候補者の資格・実務経験・常勤性の確認
- 営業所技術者等変更届の作成・提出、後任者不在時の許可業種整理
宮城県名取市を拠点に、宮城県全域を中心に東北6県からのご相談に対応しています。オンライン相談、訪問相談、土日祝日の予約相談も可能です。
まとめ
営業所技術者等が退職・異動した場合は、単なる社内人事として処理せず、建設業許可を維持できるかという視点で対応してください。
確認する順番は、次のとおりです。
- 退職日・異動日を確認する
- その人の担当営業所・担当業種を確認する
- 後任候補者を決める
- 資格・実務経験・常勤性を確認する
- 後任者が担当できない業種がないか確認する
- 宮城県知事許可では変更後2週間以内を目安に変更届を行う
- 後任者がいない業種は、一部廃業等を含めて宮城県へ確認する
営業所技術者等の退職は、「届出期限に間に合うか」だけでなく、「その後も許可業種を維持できるか」が本当の論点です。
退職予定が分かった段階で準備を始めれば、後任者の要件確認や証明資料の収集に時間を使えます。
後任者の資格・実務経験の判断、複数業種の整理、営業所変更、一部廃業などが重なる場合は、当事務所へご相談ください。宮城県の取扱いを確認しながら、許可取得後の継続管理まで見据えて支援します。
FAQ
参考資料
- 建設業法(昭和24年法律第100号):https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100
- 建設業許可事務ガイドラインについて(国土交通省):https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001860020.pdf
- 建設業許可の手引き(電子申請版)令和8年3月改定版(宮城県土木部):https://www.pref.miyagi.jp/documents/11957/202603kyoka_denshi.pdf
- 建設業許可の手引き 令和7年2月改定版(宮城県土木部):https://www.pref.miyagi.jp/documents/11957/tebikifull202502.pdf

行政書士 吉田 貴之(よしだ たかゆき)
宮城県名取市を拠点に建設業許可・
産業廃棄物収集運搬許可を専門に
サポートしています。
要件確認から申請まで一括代行。
初回相談・要件診断は無料です。
📞 022-382-8723












この記事へのコメントはありません。