許可全般ー基礎知識

建設業許可 個人事業主(一人親方)でも建設業許可は取得できる?

「一人親方だから許可は無理」「法人化しないと取れない」と思い込んでいる方が、宮城県内にもとても多くいらっしゃいます。
しかし建設業法上、許可の取得に法人化は条件になっていません。個人事業主のまま、つまり一人親方の屋号のままでも、必要な要件を満たせば建設業許可を取得できます。この記事では、宮城県の建設業許可申請の手引き(令和8年4月改訂版)をもとに、個人事業主が許可を取るための具体的な条件・必要書類・法人との違いをわかりやすく解説します。

1.結論:個人事業主でも建設業許可は取得できる


建設業法において、許可の申請者は「法人」に限定されていません。個人(個人事業主)も法人と同じ条件で建設業許可を申請できます。

📖  建設業法上の考え方
建設業許可の要件は「経営業務の管理体制」「専任技術者」「誠実性」「財産的基礎」「欠格要件に該当しないこと」の5つです。これらはすべて、個人事業主でも満たすことができる要件です。

実際に、宮城県内でも一人親方として個人事業主のまま建設業許可を取得し、500万円以上の工事を受注している事業者は数多く存在します。

なぜ「法人でないと無理」と誤解されるのか

よくある誤解の背景には、次のような事情があります。

  • ●  公共工事の入札参加資格は法人の方が有利な場合がある
  • ●  金融機関からの融資審査で法人の方が信用力を得やすい
  • ●  元請企業によっては法人としか契約しない方針がある

これらは「許可が取れない理由」ではなく、「事業展開上の選択肢の違い」です。許可取得そのものに法人化は不要です。

2. 個人事業主が満たすべき5つの要件


建設業許可の要件は法人・個人共通で5つあります。それぞれ個人事業主としてどう満たすかを解説します。

要件① 経営業務の管理体制

個人事業主の場合、「事業主本人」または「支配人」が経営業務の管理責任者の要件を満たす必要があります。

対象要件
事業主本人建設業の経営業務を5年以上(ルートにより6年)管理した経験
支配人登記された支配人として同様の経験

💡  個人事業主ならではのポイント
個人事業主歴がそのまま経営経験としてカウントされます。開業から5年以上、確定申告を継続している一人親方であれば、この要件はクリアしやすい傾向があります。

「経管の要件については『【宮城県】建設業許可の経営管理者(経管)になるための要件を徹底解説』もあわせてご覧ください。」

「5つの要件の全体像は『【宮城県】建設業許可取得の5つの要件は何?』で詳しく解説しています。」

要件② 専任技術者の設置

許可を受けたい業種について、資格または実務経験を持つ専任技術者が必要です。個人事業主の場合、事業主本人が専任技術者を兼ねることが一般的です。

  • ●  国家資格(施工管理技士・建築士等)を保有している
  • ●  指定学科卒業+実務経験(大卒3年・高卒5年)がある
  • ●  実務経験のみで10年以上の経験がある

一人親方として長年現場で働いてきた方は、実務経験10年の要件で専任技術者になれるケースが多くあります。

要件③ 誠実性

事業主本人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないことが必要です。過去に建設業法等で処分歴がなければ、通常は問題になりません。

要件④ 財産的基礎・金銭的信用

個人事業主の場合、次のいずれかを満たす必要があります。

条件内容
①自己資本500万円以上期首資本金・事業主借勘定・事業主利益の合計から事業主貸勘定を控除した額
②資金調達能力500万円以上の預金残高証明書または融資可能証明書(申請前1か月以内)
③継続営業実績直前5年間、宮城県知事許可を受けて継続営業した実績

⚠️  個人事業主が特に注意すべき点
「自己資本」の計算は確定申告書の内容に基づきます。事業用とプライベートのお金の管理が曖昧だと、自己資本要件の証明が難しくなることがあります。日頃から帳簿を正確につけておくことが重要です。

要件⑤ 欠格要件に該当しないこと

事業主本人が、破産手続中・刑罰歴・暴力団関係者等の欠格事由に該当していないことが必要です。

3.個人と法人で何が違う?比較表


個人事業主と法人で、建設業許可の取得において具体的にどう違うのかを比較します。

比較項目個人事業主法人
許可の取得可否可能可能
申請手数料(新規)9万円9万円(同額)
経営管理体制の証明事業主本人の確定申告書役員の登記事項証明書
財産的基礎の判断確定申告書の内容で計算貸借対照表の純資産で判断
社会的信用法人よりやや低めの傾向入札・融資での優理な場合が多い
法人成り時の扱い許可引継ぎ可(承継認可)

⚠️  個人事業主の最重要注意点
個人事業主として取得した建設業許可は、法人化(法人成り)した際に自動的に引き継がれません。法人として改めて新規許可を申請する必要があります。将来の法人化を見据えている方は、このタイミングについても事前に相談しておくことをおすすめします。

4. 個人事業主が用意する必要書類


① 常勤性・経営経験を証明する書類
  • ●  確定申告書の写し(経営経験期間分)
  • ●  所得税確定申告書(表紙+第二表)の写し(常勤性の証明)
② 専任技術者を証明する書類
  • ●  資格者証の写し(保有資格がある場合)
  • ●  実務経験証明書(様式第九号)
  • ●  実務経験を裏付ける工事請負契約書・注文書等
③ 財産的基礎を証明する書類
  • ●  確定申告書(自己資本500万円以上を証明する場合)
  • ●  預金残高証明書(資金調達能力で証明する場合)
④ その他共通書類
  • ●  住民票
  • ●  身分証明書(本籍地の市区町村発行のもの)
  • ●  登記されていないことの証明書(成年後見等の登記がないことの証明)
  • ●  納税証明書

📋  提出部数に注意
宮城県への申請では正本1通+写し2通の計3セットが必要です。書類の取得には時間がかかるものもあるため、余裕をもって準備しましょう。

5.一人親方が許可を取るメリット・デメリット


メリット
  • ✔  500万円以上の工事を直接受注できるようになる
  • ✔  元請企業から「許可業者」として信頼されやすくなる
  • ✔  公共工事の入札参加資格を得る前提条件になる
  • ✔  将来の法人化・事業拡大の土台になる
メリット・注意点
  • ●  申請手数料9万円に加え、書類収集の手間がかかる
  • ●  5年ごとの更新、毎年の決算変更届など継続的な事務作業が発生する
  • ●  自己資本500万円の要件を、個人の確定申告書で証明する必要がある
  • ●  法人化した際は許可を再取得しなければならない

6.法人化すべきタイミングの目安


「個人事業主のままでいいのか、法人化すべきか」も多くの一人親方が悩むポイントです。

目安判断の方向性
年商800万〜1,000万円を超えてきた法人化による節税メリットを検討する時期
元請から法人でないと契約しないと言われた法人化を急ぐべきケース
公共工事の入札に参加したい法人の方が有利な場合が多い
従業員を雇用して事業を拡大したい法人化で社会的信用を高める選択肢

📞  法人化のタイミングも相談可能
法人化すると建設業許可は再取得が必要になるため、タイミングを誤ると一時的に許可が空白になるリスクがあります。よしだ行政書士事務所(宮城県仙台市)では、個人から法人への切り替えタイミングについてもアドバイスしています。

「法人化に伴う許可の引継ぎについては『事業承継(合併・分割・譲渡・相続)認可申請とは?』で解説しています。」

7.仙台市・宮城県で申請する際の注意点


① 仙台市内の場合は仙台土木事務所が管轄

仙台市に事業所がある個人事業主の方は、仙台土木事務所(仙台市宮城野区幸町4-1-2)が申請窓口になります。

📞  法人化のタイミングも相談可能
法人化すると建設業許可は再取得が必要になるため、タイミングを誤ると一時的に許可が空白になるリスクがあります。よしだ行政書士事務所(宮城県仙台市)では、個人から法人への切り替えタイミングについてもアドバイスしています。

② 完全予約制(早めの準備が重要)
管轄土木事務所予約受付開始
仙台土木事務所・東部土木事務所希望日の60日前から(先着順)
大河原・北部・気仙沼土木事務所希望日の31日前から(先着順)
③ 審査期間は約35日

申請受付後、許可が下りるまでおおむね35日かかります。この間は500万円以上の工事を受注できないため、逆算してスケジュールを組むことが重要です。

8.よくある質問(FAQ)


Q.  個人事業主(一人親方)でも建設業許可は本当に取れますか?

A.  はい、取得できます。建設業法上、許可の申請者は法人に限定されていません。経営業務の管理体制・専任技術者・誠実性・財産的基礎・欠格要件という5つの要件を満たせば、個人事業主のままで建設業許可を取得できます。

Q.  一人親方として開業して何年で許可が取れますか?

A.  経営業務の管理責任者としての経験が5年以上(ルートにより6年以上)必要です。開業からその業種の事業主として継続的に営業し、確定申告を行っていれば、経験年数としてカウントされます。

Q.  自己資本500万円がないと許可は取れませんか?

A.  自己資本500万円以上のほか、500万円以上の預金残高証明書(資金調達能力)でも要件を満たせます。自己資本が不足していても、金融機関の残高証明書で対応可能なケースが多くあります。

Q.  従業員がいない一人親方でも専任技術者になれますか?

A.  なれます。事業主本人が専任技術者の要件(資格または実務経験)を満たしていれば、事業主自身が専任技術者を兼任できます。

Q.  個人事業主から法人化したら、許可はそのまま引き継げますか?

A.  引き継げます。法人化(法人成り)した場合、建設業許可認可申請という制度で個人から法人へ引継ぎ(法人成り)できます。尚、認可申請は役所へ支払う手数料9万円がかかりません。しかし手続きが難しくなるべく専門家へ依頼することをおすすめします。

Q.  仙台市内の一人親方ですが、どこに申請すればいいですか?

A.  仙台市に事業所がある場合は、仙台土木事務所(仙台市宮城野区幸町4-1-2)が管轄です。宮城県は完全予約制のため、希望日の60日前から予約が必要です。

Q.  申請手数料は法人と個人で違いますか?

A.  同額です。新規申請の場合、法人・個人ともに9万円(業種追加・更新は5万円)です。

9.まとめ


個人事業主(一人親方)でも、要件を満たせば建設業許可を取得できます。法人化は許可取得の必須条件ではありません。

確認事項内容
許可はとれるのか?とれる(法人化は不要)
経営経験の証明事業主歴5~6年+確定申告書
専任技術者事業主本人が兼任可能(資格または実務経験10年)
財産的基礎自己資本500万円または預金残高証明書500万円
法人化した場合許可引継ぎ可
仙台市での申請仙台土木事務所・60日前予約制

「自分でも建設業許可が取れるのか」「何から準備すればいいのか」——そんな段階でも、よしだ行政書士事務所にお気軽にご相談ください。

「費用の目安は『【宮城県】建設業許可の費用、結局いくら?』で確認できます。」

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